
未来屋書店各務原店 山田克宏さん
遠田さんの本は全部読んでるわけではないので、勝手なイメージですが、激情、宿命、生死といったどこか自分とはかけ離れた世界の話の人、と思っていましたが完全にいい意味で裏切られました。
登場人物があたたかく、また起こった事件や地名、固有名詞が散りばめられているので非常にリアルに感じました。中では『道頓堀ーズ・エンジェル』が一番好きです。3人のこれからに幸あれと思ってしまいます。
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紀伊國屋書店天王寺ミオ店 西澤しおりさん
生まれる前の知らない大阪の話でもとても懐かしく感じるのは、今も変わらない人情で繋がっているからなんだろう。騙されて夢破れて、上手くいくだけじゃない人生、泣いて泣いて、でも最後はみんな笑ってる。人を笑顔にすることが出来るのはさすが大阪!! 今年はそんな大阪の晴れ舞台・万博。きっと「ええことずくめ」な春になる。晴れやかな気持ちでいっぱいになりました。
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うさぎや矢板店 山田恵理子さん
懸命に生きてきた人たちと、大阪の街に流れる血の通った物語。時代を超えてそれぞれの家族のかたちに吹き込まれたエネルギーとラストがすごかった! うわーっと心の中に桜吹雪が舞い涙が流れた。

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宮脇書店境港店 林雅子さん
様々な悩みを抱えて、それを出せる人もいれば、抱え込んでしまう人もいる。
私の印象に残ったのが「黒門市場のタコ」でした。
うまく言えないですが、こうと決めずに、少しずれてもいいじゃないと。
のんびりペースで進んで行くのもアリかなと思いました。
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文真堂書店ビバモール本庄店 新井さゆりさん
過去は変えられないけれど、温かい気持ちに包まれた未来を迎えることは出来るのだと、登場人物たちの変化を見て心がほぐれていく。
どうにも修復出来ない諦めていた家族との傷も、いつか心を落ち着かせて笑顔に変えることが出来るんだよと、そんな声が物語から聞こえた気がして、自然と涙がこぼれた。
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文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん
チョーコさんの凄さ、ハナコさんの凄さ、そしてヒデヨシ、吾郎さんの凄さ。凄さと優しさを合わせ持つ登場人物たちへ、心からの拍手を!!
大阪弁がめちゃくちゃ温かい! 人の情けが身に染みる……。

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未来屋書店宇品店 森島恵さん
「ミナミの春」というタイトルから、ほのぼのあたたかなストーリーを想像していましたが、思っている以上にピリリッとスパイスの効いた内容でした。
それぞれのお話しの登場人物にそれぞれの辛さ、寂しさがあり「確かに生きてる以上はみんなそれぞれ何かしらの痛みを伴って生きてるよな……」と感慨深く読ませていただきました。
それでも最後はみんな、笑顔で前を向いて生きて行く! いや、生きていかなくてはいけない! と自分も鼓舞してくれる作品でした。
久しぶりに読み応えのある短編集を読ませていただきました。
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Lounge B books 桐谷明宗さん
生きていればいろいろある。ええ時もあれば悪い時もある。人生山あり谷ありや。生きるっちゅうのはそんなもんや。
ときには悪いときがずっと続くことだってある。それでも懸命に生きる人たちの姿に心打たれてしもたわ。最後のチョーコ姐さんにも泣かされてしもたわ。
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精文館書店中島新町店 久田かおりさん
いや、びっくりしたわ。ほんま、自分の中で勝手に作り上げてた遠田潤子というイメージがくるりとひっくり返ってもた。
今まで「家族」という関係の、その影の部分を描いてきた遠田潤子が、からりと晴れた青空の下で「家族ってええもんやねぇ」と言いたくなるような日なたに連れてきてくれるやなんて。
しかも、大阪のミナミが舞台やて。しかもしかも、お笑いの、カサブランカという姉妹漫才コンビを軸にした連作短編集やて。
あぁ、ほんま面白かったわ。面白くて泣きそうやわ。いや、実際泣いたしね。まっとうな涙流してしもたしね。
ヒトが自分の思うように生きていくことなんてそうそう簡単にできるもんやない。
失敗したり挫折したり騙されたり投げ出したり。そんな嫌なことばっかりの人生の中で、それでも夢見るくらいのことは許されるんちゃう?
夢見て、それを叶えようと必死に頑張って。でも、たいていあかんのよね。うまく行かへん、それで諦めるんよ、だいたいみんな。
諦めて、言い訳しながら別の道探して進んでいくけど、夢のカケラがポケットの中に入ったままで。
でも、そんな捨てられへんままくしゃくしゃになってたカケラをふいに見つけてしもたりするんよね、人生ってさ、いじわるよね。
誰でもそんなカケラの一つや二つ、持ってるやん。だからこれ読むと「あぁ、わかるわ。そうやんなー」ってなるん。
そうやんなー、をいくつか重ねた最後に、これやん。もう、泣くしかないやん。
1995年から2025年までの、少しずつ重なった、人の縁。優しさで繋がる縁に泣き笑い。
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