担当編集者より

コロナ禍における自粛警察など、行き過ぎた正義が話題になる昨今、それぞれの主義主張の数だけ正義があり、そこから争いや誤解、嫉妬や優越感が生まれています。私たちの中にある正しいことと正しくないことをモチーフに、偏見や差別、セックス、結婚、老いなど、はっきりとは口にはしないみんなの関心事を鮮やかに描く著者の手腕は実に見事です。自分の心のうちを見透かされてしまったかのようなドキドキ感も味わえます。