2009.08.20 インタビューほか

「FA」と「逆指名」でプロ野球は決定的に傷ついた

「本の話」編集部

『プロ野球が殺される』 (海老沢泰久 著)

「FA」と「逆指名」でプロ野球は決定的に傷ついた

──『プロ野球が殺される』は、2003年の夏からNumber Webで連載中のコラム「スポーツの正しい見方」のベスト・セレクションに書き下ろしと著者インタビューを加えたオリジナル作品ですが、初出がインターネットという媒体であることを特別に意識されていますか。

海老沢  ぼくはインターネットを使わないから、どう意識すればいいのか分からない(笑)。雑誌や新聞のコラムと同じように書いている。ただ、鹿島アントラーズファンの友人によれば、ぼくが「スポーツの正しい見方」でサッカーのことを書いたあとなどは、その内容をめぐってアントラーズのファンサイトなどで侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論がかわされているらしいね。

──題材選びはどのようにしておられるのですか?

海老沢  新聞のスクラップやスポーツ番組を見ているときに気付いたことをメモするぐらいかな。平均すると一日にひとつは候補を見つけて、締め切り間近になるとそれらを比較しながら、題材を決めている。

──テーマの中心となっているのは日本のプロ野球ですが、海老沢さんはこれに対して強い失望感と危機感を抱いておられますね。

海老沢  ぼくが日本のプロ野球に熱狂していたのは、ジャイアンツがV9を達成した黄金時代だから、どうしてもその当時と現在のことを比較してしまう。当時のジャイアンツには長嶋茂雄と王貞治という傑出した選手がいたけれど、V9の立役者は川上哲治監督だと思うよ。川上監督や牧野茂コーチらが採り入れたドジャース戦法が、それまでのエースが投げて四番が打てば勝つという単純な野球からの脱却を意味していたのだろう。ドジャースのキャンプに参加した広岡達朗が「アメリカのキャンプにはスケジュールがあることにまず驚かされた」と語っているぐらいだから、日本の野球は相当遅れていたんだね(笑)。ドジャース戦法によってチーム一丸となって勝利を目指すというジャイアンツを、タイガースの村山実や江夏豊、ドラゴンズの星野仙一らに代表される個の力が止めることは難しかったということだろう。

プロ野球が殺される
海老沢 泰久・著

定価:560円(税込) 発売日:2009年09月04日

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