日めくり立ち読み『感受体のおどり』

第1番

文: 黒田 夏子 (作家)

登場人物紹介

 男か女かときかれて,月白(つきしろ)はどちらかと問いかえすと,月白(つきしろ)が女なら男なのかと月白(つきしろ)はわらった.

 おなじでは見おとりがするからさけたいというふうなのも弟子としてはむしろずいぶんなおもいあがりのようだが,きげんよくわらいごとにした月白(つきしろ)には,しこんだのはじぶんなのだといううたがわなくていい優位の年月があった.

 踊れるもののかぎられた小児たちやこんどはぜひどの曲をと親たちがねっしんな者などからさきにきまっていき,男役と女役との数がかたよってしまえば少ないほうをすることになるが,てきとうに変化のつく番ぐみになりそうなときなら私にも男か女かをまよう自由がのこった.

 月白(つきしろ)もまだきめていないから,つぎのけいこ日までに双ほうでかんがえておいてまたそうだんしようと,入ってきた小さな春潮(はるーしお)に,すぐけいこにかかると身ぶりで知らせながら月白(つきしろ)が言った.

感受体のおどり
黒田夏子・著

定価:1,850円+税 発売日:2013年12月14日

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