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10人の書店員が担当分野から選んだ<br />あなたに読んでもらいたいベスト10冊+α

10人の書店員が担当分野から選んだ
あなたに読んでもらいたいベスト10冊+α

「本の話」編集部

考えるカラス
NHK「考えるカラス」制作班・編

定価:本体1000円+税 発売日:2014年08月29日

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野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)

 担当している部門は理工書です。今一番オススメは『考えるカラス』(NHK出版)です。この本はNHKの同名教育番組書籍版。一般にサイエンス番組は、ある問いに対してその解を追い求める、または追い求める人々を追いかけたり、発見があり、それがいかにして生み出されたかを描き出したりするものがほとんどです。しかし『考えるカラス』は、科学の考え方を磨く番組です。「自ら課題を見つけ、観察し、仮説を立て、実験し、その結果をもとに考える」科学のありようそのものを体験させてくれるのです。書籍版の中には問いと結果、他の人の考え方が載っているのみで、どうしてそのような結果になるのか、という一番読者が知りたいことは書かれていません。読むととにかくもやもやしますが、それこそが科学の醍醐味であると気付きます。所属しているHONZというノンフィクション紹介サイトでも他のレビュアーがレビューを書いているので、そちらもぜひご参照ください。
(HONZ「『考えるカラス』もやもやするサイエンス」:http://honz.jp/articles/-/40749
(NHK「考えるカラス~科学の考え方~」:http://www.nhk.or.jp/rika/karasu/

ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者
矢野久美子・著

定価:本体820円+税 発行日:2014年03月25日

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岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)

『ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治学者』(矢野久美子/中公新書)。昨年秋に映画が公開されて以来、静かなブームをおこしているハンナ・アーレント。彼女はその生涯を通して、ホロコーストを生みだした全体主義とは一体何だったのかを考え続けました。同質化を求め、異なる意見や人々の存在を叩いては排除しようとする。その最も悲劇的な結果がホロコーストだとすれば、他者への寛容さと余裕を失いそうに見える今の日本を考える上で、アーレントの問いは参考になる部分が少なくありません。世間の「空気」を読むことに夢中になる余り、自ら物事を考えることを放棄して無意識の共犯者とならないようにするには、どうすればいいのか? そのヒントを、波乱に満ちたアーレントの生涯を通して考えてみるのはどうでしょう。彼女のそばに終始寄り添うような視点と抑制的な文章で見事に描ききった本書をお勧めします!

メイド・イン・ジャパンのデザイン!70年代アナログ家電カタログ
松崎順一・著

定価:本体2800円+税 発売日:2013年06月21日

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筒井陽一(リブロ名古屋店)

『メイド・イン・ジャパンのデザイン!70年代アナログ家電カタログ』(松崎順一/青幻舎)。1970年代の家電を、当時のパンフレットをベースに「オーディオ」「テレビ」「ホーム家電」と章だてて紹介。全てを通じて、色とデザインのアッパー感が何ともたまりません。もはや機能が携帯端末に吸収されてしまったものも数々。21世紀はまだ遠い未来だったはず。団塊世代へのプレゼントにも是非。

おじいちゃんがおばけになったわけ
K・F・オーカソン・文、E・エリクソン・絵

定価:本体1300円+税 発売日:2005年06月

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高橋佐和子(山下書店南行徳店)

 大手書店時代、児童書の担当になった時に、お問い合わせに応えられなかった自分を恥じて、お店にあった絵本を仕事後に全て読んだことがあります。(本当はちゃんと買うべきなのですが、さすがに全て購入するのは厳しかったので、あまり褒められた行為ではないです)。その時はじめて、ある本に触れて鳥肌が立った経験をしました。それは『としょかんライオン』(ミシェル・ヌードセン・文、ケビン・ホークス・絵/岩崎書店)と『おじいちゃんがおばけになったわけ』(K・F・オーカソン・文、E・エリクソン・絵/あすなろ書房)です。おすすめの本はたくさんあって一冊と指定されると迷う幸せがあります。偶然、この質問を頂いたときに死について考えさせられる本との出会いがありました。なので、今は『おじいちゃんがおばけになったわけ』をお勧めしてしまうかと思います。

幽落町おばけ駄菓子屋
蒼月海里・著

定価:本体440円+税 発売日:2014年08月23日

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内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 迷わずに角川ホラー文庫の8月新刊『幽落町おばけ駄菓子屋』をオススメ。この世とあの世の狭間には奇妙に不思議な空間があります。幽霊も活躍しますがおどろおどろしくはなく、おいしいお菓子も登場し、読後はほんのりと癒されます。表紙のイラストも素晴らしい空気感ですが著者の蒼月海里さんは、わが神保町本店2階のアルバイトです。12月には続編も刊行決定! 書店には作家さんもいます。ぜひとも格別の応援をお願いいたします。

 あなたにピッタリの一冊は見つかりましたか? 1歳の誕生日プレゼントに贈る本や、中年以降の大人が希望を持って生きられるような本といった質問もいただいていますので、回を改めてご回答します。ご相談がある方は9月21日(日)までに投稿フォームからご質問ください。

関連情報を本の話WEBのTwitterアカウント(@hon_web)でつぶやいています。ハッシュタグ:#書店の謎

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プレゼント
  • 『赤毛のアン論』松本侑子・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/11/20~2024/11/28
    賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様

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