写真家木村伊兵衛は明治三十四年(一九〇一年)生まれ。子供の頃からおもちゃのカメラを手にして写真に興味を持った。大正十三年(一九二四年)、都内で写真館を開業。昭和五年(一九三〇年)、花王石鹸(現花王)広告部に嘱託カメラマンとして入社する。昭和八年、名取洋之助、伊奈信男らと〈日本工房〉に参加する。
同時代を生きた土門拳とともに日本を代表する写真家。
「オツですね」「粋だね」という言葉が大好きだったという木村は、
〈旦那芸といわれながらも着々と独自の世界を築いていった「おしゃれ」な人だった。なにげなく、さりげなくカメラを使いながらも、決して抜かない匕首(あいくち)を持っているような「いなせ」な人だった〉(高峰秀子著「にんげん蚤の市」より)
写真は昭和三十八年撮影。昭和四十九年没。
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