インタビューほか

鶴田真由×海堂尊
「ゲバラは旅で成長した」

「オール讀物」編集部

『ポーラスター ゲバラ覚醒』 (海堂尊 著)

いまなおカリスマ的人気を誇る革命戦士の青春旅行を描いた海堂さん。ドキュメンタリー番組で、キューバを訪れた鶴田さんと、ゲバラの魅力、旅の醍醐味について存分に語り合った。

海堂 そうですよね。長期の行き先と短期の行き先があるのは大切ですが、そこをアスファルトで道路のように固めちゃうと何も生まれない。次の飛び石に飛ぼうと思って水に落ちるとか、そういうことが大事じゃないかと思うんです。鶴田さんのマインドというのは、『ニッポン西遊記』を拝読して思いましたよ。「あっ、いい加減な旅だな」みたいな(笑)。

鶴田 そう、いい加減なんです(笑)。でも、起こったことに反応できるような準備だけはしておこう、とは思っています。海堂さんにとって、小説を書くということは、まさに旅なんですね。書きながら、何かを感じとって、次に書くことに繋げていく、という。

海堂 その通りかもしれないですね。小説の世界では今、僕が神さま。何でもできるからこそ、ちゃんとしたものを作らなきゃいけないという責任もある。だからここ最近は、もっぱら1950年代の中南米の世界に潜っているような生活です。たまにこうやって2016年の東京で美女と会うと、タイムトラベルしてきたような感じになりますね(笑)。

鶴田 続編のご執筆も始められているということですが、ゲバラの旅は今後、どうなっていくのでしょうか。

海堂 次作となる第2部は、中米編です。ゲバラにボリビア革命を体験させて、ペルー、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、グアテマラへ。第3部はカストロ編で、カストロが生まれてから、モンカダの反乱で挙兵してメキシコに亡命するまでを書きます。このとき、メキシコでゲバラと会うんです。第4部では、キューバ革命を描きます。

鶴田 革命を成功させた2人がどうなるかも気になります。カストロと別れてゲバラが亡くなるまでというのは、やっぱり相当つらい時期だったんじゃないかと思うんです。革命を成功させるまでは、辛いことが多くても実を結んでいく、という物語だったのが、キューバを出た後は、まったく実を結ばないまま、ゲバラは命を落とす、というイメージが私の中にはあって。晩年、ゲバラはどんな思いだったのかな、と考えてしまいます。

海堂 おっしゃる通り、この作品の完結にむけて、大切なモチーフになると思います。そのときのゲバラの思いというのは、これまでに積み上げてきたものの総括になるでしょう。

鶴田 ゲバラにとっては、革命が一つの区切りだった。自分はもともとキューバの人ではないし、もっと違う志みたいなものがあったでしょうし、カストロはやっぱりそこからキューバという国家を作っていくという、ある意味スタートだったかもしれない。革命後に、2人がずれていくというのが興味深いです。

海堂 実は私は、その部分を描きたくて、ゲバラを題材にしたんだと思っているんです。でも今は全然見えていない。鶴田さんのおっしゃっている通りかもしれないし、全然違うことになるかもしれない。そればっかりは、書いてみないと分からないですね。

鶴田 ラストまで早く読みたい。

海堂 鶴田さんを納得させられるものを書けるよう頑張ります(笑)


衣装協力◎ヨーガンレール(鶴田さん)
写真◎深野未季
聞き手◎オール讀物編集部

ポーラースター ゲバラ覚醒
海堂尊・著

定価:本体1,750円+税 発売日:2016年06月11日

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オール讀物 2016年7月号

定価:980円(税込) 発売日:2016年06月22日

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