書評

ムネオが体験した凄絶・永田町の暗闘

文: 鈴木 宗男 (新党大地・真民主代表)

『政治の修羅場』 (鈴木宗男 著)

 いまの政治家に能力も魅力もないのは、修羅場を潜り抜けた経験がないからだ。

 自民党の小泉純一郎さん以降、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と世襲議員の総理が続き、民主党に政権が移っても、四世議員の鳩山由紀夫さんが総理の座に就いた。私が政治の世界に飛び込んでから師と仰いだ中川一郎先生、金丸信先生、あるいは田中角栄先生といった、貧乏と苦労の中から這い上がってきた叩き上げの政治家に比べると、どうしてもひ弱さを感じざるをえない。言葉も行動も、重みが違う。そんな思いを込めたのが、この本だ。

「自民党をぶっ壊す」という掛け声で国民から高い支持を得た小泉さんは、自分の好き嫌いと人気の有無で人を使った。その典型が、実力も実績もない田中眞紀子さんを外務大臣に抜擢したことだ。

 眞紀子外相を罷免するしかなくなったとき、小泉さんは「三方一両損」だと言って、外務省の野上事務次官と共に、衆議院の議院運営委員長だった私の辞任を求めた。外務大臣の交代こそ一番の国益だと考えた私は、素直に応じた。すると小泉さんは、私に電話をかけてきてこう言ったものだ。

「いやあ鈴木さん、すまんかった。大変な借りを作った。必ずこの借りは返す!」

 まるで、「感動した!」と言って貴乃花に総理大臣杯を渡したときのような口ぶりだった。しかしその「貸し」は、いまだに返してもらっていない。

 小泉さんは、自分で自民党をぶっ壊すことはできなかった。しかし3年後の総選挙で民主党に惨敗し、自民党はぶっ壊れてしまった。

 代わって政権を取った民主党で総理に就いた鳩山さんは、もともと自民党田中派の議員だった。初出馬のとき、同じ北海道の田中系議員だった私は、金丸信先生に命じられて応援に行った。そのときの鳩山さんのセリフは、いまも忘れられない。

「私はあまり元気がないもんですから、鈴木先生のお力も借りながら頑張ってみたいと思います」

【次ページ】幻に終わった「新党構想」

政治の修羅場
鈴木宗男・著

定価:809円(税込) 発売日:2012年06月20日

詳しい内容はこちら