東山魁夷、杉山寧とともに「日本画三山」とよばれた高山辰雄は、明治四十五年(一九一二年)生まれ。東京美術学校日本画科に入学し、松岡映丘が主宰する画塾、木之華社に入門する。敗戦直後、生活は貧窮を極め、半年がかりで制作した作品が第一回日展に落選し、不安と焦りにさいなまれた。この頃、山本丘人にすすめられてゴーギャンの伝記を読み、強い影響を受ける。「それからは貧乏があまりこわくならなかったし、画についても、入選、落選、特選とか離れて、多少自分というものがわかってきたような気がしました。もう色でも形でも自分の好き勝手に描いてやれという覚悟もできました」(菊地芳一郎編「現代美術家シリーズ1 高山辰雄」より)
昭和二十一年(一九四六年)、第二回日展に「浴室」を出品、特選となる。昭和三十年代から風景画の制作も多くてがけるようになる。日展理事長、日本芸術院会員となり、昭和五十七年、文化勲章を受章した。
写真は平成五年(一九九三年)六月、個展「聖家族」が開催された小川美術館で撮影されたもの。
「私は、別に家族愛を描いたわけではないのです。この世には男がいて女がいて、そして子供がいる。人間はみんな孤独で淋しいものです。だから寄り添う。人間とは何か。私はそれを知りたい」(「文藝春秋」平成五年八月号)
長らく「文藝春秋」の表紙画を描いた杉山寧の後を受けて、昭和六十二年一月号から平成十一年十二月号まで描いた。平成十九年没。
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