私も子供の頃から模型作りは大好きだったし器用なものだと云われて得意になっている様なところがあった。子供心にこれは親ゆずりでどうも父親に似たのかもとも思っていた。
私の父親という人は、私とおんなじ血液型で共にAB型、熱しやすく冷めやすく、むらっ気で我がままで飽きっぽい。
私がゴム動力で飛ばす飛行機なんてのを買って来てこれを組み立てていると、
「面白そうだな、手伝ってやろう」なんて云って取り上げてしまい、私に手を出させないでさっさと作りあげてしまう。
「さあ、出来たぞ、公園へ行って飛ばしてみよう」なんて云って、どんどん出かけてしまい、一、二回飛ばしてみるとすぐ飽きてしまい、飛行機がコワれるともう見る気もなくなるらしく一人で先に立ってどんどん家へ帰ってしまう。全くあきれかえった性格の人だった。
気に入ったものに出逢うと、幾晩も徹夜で頑張るのも平気という全くはた迷惑な人だった。今冷静に考えて見てもたしかに私は父親似だ、困ったもんだと反省している。が仕方がない。
三十年位前の事だったと思う。私の息子が模型飛行機にコッた事があった。
「関東昇龍会」なんて暴力団みたいな名前の同好会のメンバーになって、多摩川の川原とか、そんな所へよく出かけて行っては、エンジンを動力とした、ワイヤーコントロールの飛行機を飛ばすのに一時期夢中になった事がある。
私もその時は、何か夢中になれる事があったら、トコトンのめり込んでみるのが好かろう、と思ったので、テラスに、換気扇付きの作業小屋を作ってやり、思う存分模型作りに熱中すればいいと云ってやった。そして彼が出かける度に、カメラを持っていって、スナップ写真や、彼が作り上げた飛行機を撮って来て、四つ切りや、キャビネ判に伸ばし、『飛行少年の記録』と名づけたアルバムを作ってやった。
ワイヤーコントロールという、ラジオコントロールと比べると、制約の多い操作手段だから操縦に面白味も少ないだろうと思われるかも知れないが、これには又、いろいろな飛ばし方や、ルールがあって、中々どうして奥が深くて面白い。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。