2016.08.03 特集

担当編集者が教える ドラマ版『11/22/63』のここは見逃せない!

『11/22/63』 (スティーヴン・キング 著)

最高のミステリーにして極上のラブストーリー

 JFK暗殺を阻止するため、過去にタイムスリップした男の運命を描いた、スティーヴン・キングの『11/22/63』。週刊文春ミステリーベスト10(2013年海外部門)、このミステリーがすごい!(2014年海外編)で、ともに第1位を獲得した最高のエンターテインメント小説が、海外ドラマシリーズ(全9話)となり、スターチャンネルにていよいよ日本初放送となる。

©Warner Bros. Entertainment Inc.ドラマ版『11/22/63』(J.J.エイブラムス監督)
8月11日(木)よりスターチャンネルで放送開始。

 そこで長年、担当編集者として多くのキング作品の邦訳出版に関わり、ひと足先にドラマを見た永嶋俊一郎さん(文藝春秋 文春文庫編集部)に、「見どころ」をガッツリ教えてもらった。

「まず、結論から言いましょう。掛け値なしに面白い、見応えたっぷりのドラマです。キングの作品はその多くが映像化されてきましたが、またひとつ新たな名作が加わった、それが正直な感想です」

 原作は大長編。主人公ジェイクが過去と現在を行き来する、長く複雑な構成を持つ旅の物語だ。果たして、未読の人でも楽しめるだろうか。

「まったく心配ありませんね。それどころか、ミステリーファン以外の人が見ても、目が離せなくなると思います。理由は物語の底流に、極上のラブストーリーがあるからです。現代人のジェイクと過去の女性セイディーとの切ないロマンスです。時代を越えて愛し合う二人の仲は、“時間の妨害”によって何度も引き裂かれそうになります。しかし苦難を乗り越える度に愛が育まれ、最後の最後に驚くべき結末が待っています」

 そうすると、既読の人は結末を知っているだけに興味をそがれる心配が……。

「私が心配したのもそこでした(笑)。何しろ出版に際しては、原文、翻訳のゲラを何度も読んだので、ストーリーはすっかり頭に入っています。でも、こちらも杞憂でした。いざ見出したらグイグイ画面に引き込まれ、ラストまで一気でした。60年代の“古き善き”アメリカが、映像でリアルに迫ってきたからです。音楽、ファッション、食べ物、クルマ、そしてミッドセンチュリーな家具、などです。また一方で、人種差別や東西冷戦など、時代の暗部も画面から色濃く伝わってきました。細部が鮮明になることで、原作では言葉を尽くして表現していた過去の世界観が、一目で理解できるようになっていました。後はもう夢中で」

 中学生の頃からのキングの愛読者だそうですが、永嶋さんにとってS・キングの魅力とは。

「質量ともに、現代最高のストーリーテラーがキングでしょう。構想力と筆力が飛び抜けています。読者を異世界へと連れ去るその強靭な“ドライブ感”は、まさに彼ならではのものです。長いキャリアの中で、『悪霊の島』(08年)以降は、“第二の絶頂期”と呼んでいいほど、充実した作品を生み出しています。本作(11年)はそうした充実期を代表する一作。キングファンにとって見逃せないドラマであることは間違いないですが、このドラマでキングに興味を持った人は、是非、本にも手を伸ばしてください。映像でも活字でも楽しめる、それもまたキングの凄さです」

より楽しむためのチェックポイント!

1960's 音楽、ファッション、クルマ、食事、家具など、古き善きアメリカの空気を五感で楽しむ。

歴史 J.F.ケネディ暗殺、ベトナム戦争、人種差別など、時代状況を知ると物語の深みがグッと増す。

ラブ 現代人の主人公ジェイクと過去の女性セイディーの時空を越えたロマンスを心ゆくまで堪能する。

小説 ドラマでキングの面白さを知った人は、本にも手を伸ばしてみる。

制作:文藝春秋メディア事業局(文:高安正樹)



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