「仕事や勉強に〈やらされている感〉があって、本気になれません。こんな自分を変えるには、どうすればいいですか?」
という質問を僕もいろいろな人から受けますが、こういう閉塞状態から脱却して自分を変えるには、自分の心の中を見つめ直すことが必要です。
みなさんも、自分自身と対話し、自分の心の声に耳を傾けてみてください。
そうすれば、日々の仕事や勉強の中に、何か一つでも本気になれるものがみいだせるはずです。あるいは、「自分が本当にやりたいことはこれだ!」というものが見つかるかもしれません。
本気になれるものが見つかれば、人生は今よりもっともっと楽しくなります。
その楽しさは漫然としたものではなく、努力の過程のなかで自分が最も自分らしくいられる、という実感です。アスリートがよく口にする「試合を楽しむ」という感覚によく似ています。
「心の声を聞いて自分を変えるなんて、難しくてできないよ」と思っている人もいるかもしれませんが、ヒントは意外と身近なところにたくさんあるのですよ!
本書には、そのヒントを七十項目挙げました。「レストランのメニューを利用した決断力養成トレーニング」「ストレスとリカバリーのバランスシート」「ネガティブな気持ちから回復するための儀式」などなど、すぐに実行できるものばかり。これらはどれも、僕自身の体験、ほとんどは失敗体験や落ち込み体験から学んだことです。
僕は〈熱血〉〈応援〉といったイメージをもたれることが多いのですが、いつもテンションが高いわけではありません。
現役時代には、「決断力のなさがテニスに出ている」とコーチに指摘されて悩んだり、ショットが決まらなくて試合中にイライラしたり、けがや病気のために激しく落ち込んだり。スポーツキャスターになってからは、緊張のあまり頭が真っ白になって次の言葉が出てこなかったり……。
でも、こうした失敗や落ち込み体験が僕自身を知る手がかりになり、〈本気度〉を高める原動力になりました。「自分を変えるきっかけをつかみたい」と思っている方は、ぜひ、この本を手にとってみてください。
また、本書では、イチロー選手や水泳の北島康介選手、テニスのクルム伊達公子選手や錦織圭選手、ゴルフでは石川遼選手やT・ウッズなど、トップアスリートたちがどのようにして〈本気度〉を保っているかも紹介しています。
超一流のスポーツ選手でも、生まれつき心が強いわけではありません。みなさん、それぞれに何かしら弱い部分を抱えています。自分の中の弱さに気づき、きちんと向き合い、自分を変えていこうと行動してきたから強くなったんだ、ということがわかっていただけると思います。
東日本大震災をきっかけに、多くの人がこれまでのライフスタイルを見直し、自分の心の中を真剣に見つめ直していることでしょう。僕も、その一人です。大切なことは、「自分とは何か、自分には何ができるか」を問い続けることだと思います。本書が少しでもその参考になるなら、こんなにうれしいことはありません。
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『皇后は闘うことにした』林真理子・著
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