インタビューほか

弱者救済に奔走する女性警察官の苦闘

「本の話」編集部

『フライ・トラップ JWAT・小松原雪野巡査部長の捜査日記』 (高嶋哲夫 著)

女性の存在の大きさと弱さ、繊細さ

――その小松原雪野巡査部長、捜査はのびのびとマイペース、性格も素直、魅力的ですが、高嶋さんの作品としては珍しい(!?)女性が主人公となっています。

高嶋 警察の中でも子供や女性を対象とした部署ですから、弱者の気持ち、細かい機微がわかるのは女性だろうと思いました。実社会でも警察に限らず、女性の存在が大きくなっていますから、必然的に女性捜査官が浮かんできました。それに、女性ならではの弱さ繊細さも、組織の強さ非情さに反して、人間的な魅力につながると思います。そして一見、能天気で元気はつらつに見える雪野さんにも様々な人生の苦しみ、過去があるわけです。

――高嶋さんの故郷、岡山がモデルのようですが、小説の中ではO県と架空の街にしてありますね。

高嶋 東京、大阪などの大都会に対する、日本中どこにでもある地方都市として舞台を設定したかったからです。モデルにした岡山県は晴れの日が多く「晴れの国おかやま」をキャッチフレーズにしています。実際に、降水量1㎜以下の日が日本で1番多い。モモやマスカットなど果物も、瀬戸内の魚も美味しい。そして、活断層がほとんどなく地震も少なくて、大きな台風もこない災害の少ない住みやすいところです。僕の生まれ故郷は瀬戸内海に面する玉野市で、現在も両親が住んでいます。岡山市は大きすぎることもなく人情味ものこる穏やかな街です。しかしそういう街にも犯罪は当然あるわけです。

――最近、話題の脱法ハーブがその犯罪のキーワードのひとつになりますが、そもそも脱法ハーブとは?

高嶋 脱法ハーブは麻薬の成分を、法律をすり抜けられるよう少し変えたもので、ほとんど麻薬と変わりません。服用中に車を運転して多数の死傷者を出す事件も頻発しています。アロマや御香の一種として手軽さをアピールして、小説の中にあるように自動販売機で売っている店もあります。脱法ハーブを入り口として、違法な中毒性の高い薬物へと誘導する悪質な業者もいます。

――さて、小説は小さな事件、深夜、公園で裸足の少年を保護するところから、とんでもない方向に発展していきます。

高嶋 初めは本当に「小さな兆し」なのですが……、後は作品で展開を楽しんでいただければと思います。高校生が主要な登場人物になっています。高校生にも読んでほしいですね。文庫オリジナルでより多くの読者の手に渡ることを期待しています。

フライ・トラップ

高嶋哲夫・著

定価:580円(税込) 発売日:2013年02月08日

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