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花森安治が唱えた実用文十訓

花森安治が唱えた実用文十訓

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 花森安治がてがけた雑誌「暮しの手帖」は他に類をみない編集方針で、大成功をおさめたが、誰もまねるものがなかった。なにしろ広告を載せなかったのである。

 質実をむねとして、文章の読みやすさも定評があった。花森安治が唱えた実用文十訓は以下の通り。

(1)やさしい言葉で書く。(2)外来語を避ける。(3)目に見えるように表現する。(4)短く書く。(5)余韻を残す。(6)大事なことは繰り返す。(7)頭でなく、心に訴える。(8)説得しようとしない(理詰めで話をすすめない)。(9)自己満足をしない。(10)一人のために書く。

〈字句を吟味して、耳で聞いてわからぬ言葉は使うまいとした。極力平がなで書いた。平がなばかりだと読みにくくなる。要所要所に漢字がほしい。そのあんばいに苦心した。だから誌面はかな沢山でまっ白でありながら読みやすいのは苦心の存するところで、ぱっと誌面をひろげてながめて感心したことがある〉(『私の岩波物語』山本夏彦)

 写真は昭和二十九年(一九五四年)七月に撮影。

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