文春写真館

西洋古典音楽評論のパイオニア、吉田秀和

文・写真: 「文藝春秋」写真資料部

西洋古典音楽評論のパイオニア、吉田秀和

 吉田秀和は大正二年(一九一三年)、東京・日本橋の開業医の家に生まれる。母の影響で、幼少時から西洋古典音楽に親しんだ。成城高校に進学し、ドイツ語を阿部六郎に学ぶ。また中原中也にフランス語の個人教授を受けた。東京帝国大学文学部卒業後、内務省に入り、戦時中は日本音楽文化協会に出向する。同協会は戦後、文部省に移管したが、ここを辞して音楽評論の道に入った。斎藤秀雄、井口基成、伊藤武雄、柴田南雄とともに「子供のための音楽教室」を開設、初代室長となる。第一期生には、小澤征爾、中村紘子、堤剛らがいた。この「子供のための音楽教室」は、のちに桐朋学園音楽部門の母体となった。

 日本の西洋古典音楽の評論家としてパイオニア的な役割を果たした。朝日新聞夕刊に「音楽展望」を寄稿するほか、NHKのFM放送で昭和四十六年(一九七一年)から四十年にわたって、「名曲のたのしみ」の構成、司会を続けた。平成十八年(二〇〇六年)、文化勲章を受章。

〈私はどうも理屈っぽく書く癖が抜けないけれど、昔から、音楽をきく時は楽しみにきくのが一番好き。初めてきく演奏、知らない演奏家にぶつかった時、そんな時、私はまず、演奏家にはそれぞれみんな理由があって、こうひいているのだと、最初から思って、きく。わからない演奏、気に入らない演奏にぶつかった時は、もちろん楽しめない。でも、私は、これは嫌い、これは違うと、まず、きめてかかるのは好きじゃない。そこには、何か私の今まで知らなかったものがあるのだ。それを、できるだけわかるようになりたい、と思う。ことに今までさんざんきいてきた曲が違ってきこえてくる時は、むしろ、良かったと思う〉(「之を楽しむ者に如かず」新潮社刊より)

 写真は平成二十三年十二月に撮影。平成二十四年五月没。

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