趣味は野球観戦。寝る間も惜しんで球場をはしごしていた
――次の質問です。『また、桜の国で』を初めて読んだとき、男性の作者だと思いました。のちに女性だと知ってとても驚きました。なぜとても細かい男性の友情を描けるのでしょうか。
須賀 性別の違いにはあまりこだわっていないんです。ただ、当時の社会の役割上、行動を起こしていく人物は男性が多くなります。あと、女性同士の友情を描くと、どろどろした感情が入ってしまいがちですが(笑)、男性の場合は男心を知らないのでテーマに集中して書けます。
――この作品を書かれた頃と現在では、世界の情勢も変化していますが、作品に対する思いは変わりましたか? という質問が寄せられました。
須賀 トランプがアメリカ大統領になるなんて、フェイクニュースかと思いますよね。同時多発テロやISの台頭があり、現在の世界の空気は、第二次世界大戦前夜と非常に似ているように感じます。ヒトラーが首相になったとき、ヨーロッパでもまさかと思う人が大勢いたんです。こういったニュースを受けて、国が無くなるとはどういうことか、愛国心とは何かと考えることが多くなりました。
――では、須賀さんの執筆生活について教えていただけますでしょうか。原稿は一日何枚くらい書いていますか?
須賀 日によってまちまちです。一日百枚書いたこともあるのですが、担当編集者から「そのときの奇跡を信じています」と、書けなくなる度に言われるようになってしまいました(笑)。でも、波に乗れないとゼロ枚ということもあります。
――息抜きは何ですか?
須賀 息抜きは野球観戦です。野球中継を見終えた後から仕事を始めます。でも、今年はひいきの球団が弱すぎて……、息抜きにならないんです(涙)。
――野球は、高校野球や大学野球、プロ野球など色々ありますが?
須賀 以前は今よりも野球バカで、球場を一日でいくつもはしごしていました。朝から高校野球や大学野球を観て夜にプロ野球を見たり、社会人野球を何試合も観戦していました。そして帰ってから仕事。ほとんど寝る時間がありませんでした。若いからできたことですが、これはもう息抜きではないですね(笑)
――では、次の質問ですが、作家として嬉しい瞬間はいつですか?
須賀 今ですね! 小説を書くのは本当に孤独な作業なので、今書いている作品は本当に面白いのだろうかとか、誰が読んでくれるのだろうかという迷いが常にあるんです。ですから、自分の話が読者さんに届いたことが分かるときが本当に嬉しいです。全ての苦労が報われる瞬間です。