須賀しのぶトークショー「高校時代の読書が人生を広げてくれた」

高校生直木賞

高校生直木賞

須賀しのぶトークショー「高校時代の読書が人生を広げてくれた」

文: 「オール讀物」編集部

第4回 高校生直木賞全国大会

女性B 豊島岡女子学園高校三年です。小説を執筆するうえで、文章の書き方や文体、言葉の使い方で意識していることはありますか?

須賀 センテンスを短くするということです。題材が重くなることが多いので、一文はリズムよく、情報過多にならず、平易な言葉を使うようにしています。

男性C 筑波大学付属高校二年です。歴史小説という事実があるジャンルを書かれるのはなぜでしょうか。

須賀 人間が一番むき身になるのが、動乱期だからだと思います。戦争は、今まで信じていた価値観が全て崩壊するので、個人の生き様が非常に浮き彫りになる。その様子を見たい、描きたいという思いが強いです。

男性D 成城高校から来ました。僕、この間『夏の祈りは』を読みました。今まで高校野球については全く知らなかったのですが、とても面白かったです。僕は水泳部なのですが、作中のバッターボックスに立ったときの描写を読んで、スポーツゆえの孤独感にとても共感しました。そういった共感が得られる描写をお書きになれるのはなぜですか?

須賀 私は野球経験が全くないので、想像で書いています。野球そのものを書くというよりも、野球を通じてみんなが持っている感覚を書きたくて執筆したので、そうおっしゃっていただくととても嬉しいです。

八回目のプロット書き直しに挑む高校生へのアドバイス

男性E 筑波大学附属駒場高校です。趣味で小説を書いています。中学三年生の二学期から同じ題材で書いている作品があり、すでに六、七回プロットを書きなおしています。そして今、八回目を書き始めているのですが、同じものをずっと書くのがよいのか、それとも他のものを書いてみるのがよいのか、どちらがよいのでしょうか。

須賀 人によりますね。でも、そのこだわりはとても大事だと思います。プロを目指すのであれば違うものを書き始めた方がよいのかもしれませんが。

男性E そういうわけではないんです。

須賀 それならば、極めてください。何回も書き直せるということは、それだけこの作品に色々な切り口が見つかるということですよね。それを突き詰めると得るものが多いと思いますよ。

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