京都を舞台にした不思議な世界観の小説で読者を捉えて離さない森見登美彦さんの新刊『熱帯』が、ついについに11月16日刊行となります。
前作『夜行』はデビュー10周年記念作品と謳われて、刊行されたのはデビューから13年目。作品のアイデアが次々に湧き、読者を楽しませる手間を惜しまない森見さんだけに、本作の刊行も幾度か予定が延びて、ファンをお待たせしました。しかし、それに見合うだけの熱量をもった作品であること請け合いです。
奈良に住む森見さんとおぼしき作家が出会ってしまった『熱帯』(佐山尚一)という不思議な小説。表参道の「沈黙読書会」という集まりで出会ったうら若き女性が明かす謎──
「あなたは何もご存じない」「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」。
世紀の奇書『熱帯』に惹かれ、秘密を解き明かさんと集まった“学団”による追跡劇。謎の奥から立ち現れる新たな謎。ストーリーにちりばめられる『千一夜物語』『ロビンソン・クルーソー』『宝島』『海底二万海里』といった本の数々。
物語の舞台は、奈良、京都から東京へ、さらには国境を越えた異国へと広がります。著者自ら、「大遠征になりすぎて戻ってこられないかと思いました」と明かすほどの壮大な森見ワールドをぜひご堪能ください。