『ひとつむぎの手』(2019年本屋大賞ノミネート)でも注目の知念実希人さんによるノンストップ青春小説『レフトハンド・ブラザーフッド』。全国の書店員さんから寄せられた感想をご紹介します。
未来屋書店東員店 小山遥加さん
もしかしてこの人が犯人では?という予想を次々に裏切られハラハラが止まりませんでした。サファイヤを製造する〈錬金術師〉の正体が判明してからの展開は凄まじく、ページをめくる手が止まらない、いや、止めてはいけないと感じました。
高校生だからこその弱さを持つ岳士も兄とともに逃亡生活を送る中で海斗に任せず自分の判断を下していったことで確実に成長したのでしょう。深い兄弟愛と絆を感じ、強く心を揺さぶられました。
本のがんこ堂石山駅前店 福島啓子さん
「エイリアンハンドシンドローム」を、死んだ兄が左手にいるという設定にし、兄の存在の有無や主人公の記憶がない時間を作り出すことで従来とは異なった謎を生み出し、新感覚のサスペンスになっていると感じました。東京の町のダークな一面やドラッグ、暴力等を話に入れたところは意外に思うと共に、知念先生の作風の多様さに驚きました。
喜久屋書店千葉ニュータウン店 堀一星さん
ドラッグ、半グレ、殺人、次から次へと畳み掛けてくる社会の暗部。もどかしくもどかしく、読み手の精神が真っ黒に染まる一歩手前、最後の最後に「絆」という光が心を救ってくれる。現代の社会問題に「知念流ミステリ」が救済の一手を差しのべてくれる、そんな一冊です。
宮脇書店ヨークタウン野田店 村山里美さん
知念実希人先生にしか描けない世界だと思いました。上手に世を渡れない岳士の真っ直ぐな心が切なく、見守らずにはいられない気持ちになりました。
私達は生きていく中で悲しみや苦しみに立ち止まる時もありますが、希望は必ずあるんだということをこの本は教えてくれて、はげましてくれているように感じます!
啓文社ポートプラザ店 藤川学さん
「独創的な主人公の設定」「暖かくも切ない兄弟の絆」「ほろ苦いひと夏の青春」「リアル感満載のサスペンス」……
折り紙つきの面白さに危うく徹夜しそうでした!
新境地を更新し続ける知念さん、やっぱりスゴイ!!
平和書店アル・プラザ宇治東店 吉川真央さん
片腕に死んだ双子の兄が宿り、事件に出くわしてしまったことから殺人犯として逃亡しなければならなくなるという怒濤の展開の冒頭から、先が気になって気になって、一気に読んでしまいました!
主人公は腕っぷしこそ強いですが、考え方がすごく等身大なところが特殊な状況にいるからこそ、より際立って心に刺さりました。劣等感や罪悪感を抱える主人公の複雑な心境と心根の優しさや正義感による葛藤が痛いほど伝わってきて、その心が彩夏や読み手の心を動かすのかな、と感じました。
年齢相応な主人公と、冷静に物事を判断し寄り添う兄のバディが最高で、もっともっと読みたい!
伊吉書院西店 安保貴司さん
前作『神のダイスを見上げて』もそうでしたが、医療ミステリからより幅広いエンタメミステリに変わりつつあるのかなと感じました。同時に原点回帰でもあるので、初期作品のファンにもおすすめ。
読みやすい作品で、医療ミステリと併せてアピールしたいです。
ゲオ福江店 立花沙八加さん
個人的に知念作品の中でベスト1です。面白すぎて3回読み返したのですが、読み返すたびに好きになる作品でした。
生と死の中にある欲望が物語を色どり、読後感は爽やかで、とても心地良かったです。青春と危険は表裏一体なのかもしれないと思いました。
忘れたい過去、重荷と共に生きていく覚悟を青春時代に決めて、誰しも大人になっていくのだと強く感じました。
新しい時代を迎える全ての人に読んでほしいNo.1青春サスペンス小説です。
三省堂書店有楽町店 内田剛さん
驚くべき着想、凄まじき展開、恐るべき才能!!
疾走感満点! 度肝を抜くシーンの連続にシビレっぱなし。新鮮かつ刺激的な読み応えにして危険すぎるほど強烈なインパクト!! 「比類なき」とはこのことだろう……まさしく出合ったことのない読書体験を思う存分に堪能……。
熱く激しく虚しく切なく、苦しいくらいの熱量があれば、冷徹に突き放される場面もある。光と影、真実と嘘、理と情を同時に追い求めて見えてくるのはたった一つしかない人間の本能そのものである。いま最も脂の乗り切った著者の新たな代表作の登場に完全にノックアウトされた──
廣文館金座街本店 増本理恵さん
この本で初めてエイリアンハンドシンドロームというものがあると知りました。
この兄弟の絆がすごくいい! 素敵でした。
兄弟ってこんなものですよね。憎かったり、ケンカもするけど心の奥深くでお互いを思いやっていて、代わりなんて誰にもできない大切な人。恥ずかしいので絶対に口には出さないけど……。
海斗の岳士への本当の気持ちがわかった時に涙があふれてきました。
宮脇書店金沢文庫店 松岡圭介さん
「他人の手症候群」を発症した経緯(真実)が受け容れられず、贖罪を求めるように始まる逃避行は、偶然、殺人現場に居合わせたことによって、少年の成長譚へと変わってゆく。ひとりでは決して為し得ぬ犯人探しは、左手に宿る「兄」との対話によって、やがて自分探しの様相すら帯びてくる。ひとには、弱さがあり強さがある。決して耐えられないと逃げ出すこともあれば、歯を食いしばるときもある。
繋がりの、あるいは人間存在の儚さや脆さへと向けられる著者の眼差しを私はこれからも支持していきたい。
SuperKaBoS鯖江店 峯森和代さん
左手にいるのは、自分が運転していたバイクの事故で死なせてしまった双子の兄、海斗。まだ高校生の岳士がそんな状況で普通の判断ができるとは思えない。兄に導かれるまま(時には反発もするけど)行動して大丈夫かな、ドラッグ「サファイヤ」にまで囚われて、一体この先どうなってしまうのかとハラハラしながら読みました。
紀伊國屋書店加古川店 吉田奈津子さん
今までの知念さんの医療ミステリーとも違う味わいですが、最初からぐいぐい惹き込まれ、後半どうなるのかとハラハラし、最後は気づけば涙を流していました。
知念ワールド確立! といったところでしょうか。今から次の作品が楽しみです。
松本駅改造社書店 山村奈緒美さん
一気読みしてしまいました。
左手に別人が宿るという離れ業。どういう物語になるのだろう、と思いながらページをめくりましたが、弟だけが認識している兄とのやりとりは、やがて必ずくるであろう別離のときを予感させ物寂しい。両人の会話の気安さ、その一方で抱く相手への葛藤が異様な舞台設定にリアリティを与え、とてもひきこまれてしまいました。
みんな、幸せになれますように、と祈りたくなる小説でした。
明林堂書店日出店 冨田昭三さん
つかみは著者史上最高。18歳の風間岳士はロードレーサーで実家から逃げる。片腕が意思とは関係なく動く、まさに制御不能だ。しかも乗っ取られた腕からは兄の声まで聞こえる。さらに殺人事件に巻き込まれ容疑者として追われる。逃げながら真犯人を探す。まるで映画『逃亡者』だ。明らかに新しい知念実希人さんだ。この小説の着想が浮かんだ時「おぅ~」と思ったはずだ。展開に衝撃が走り、読後感は納得。やっぱり知念さん最高だ。
ジュンク堂書店三宮店 三瓶ひとみさん
双子っていいなあとうらやましくなりました。
エイリアンハンドシンドロームもまったく違和感がなくて、岳士と海斗の兄弟愛、殺人事件にまきこまれて追われる姿、真犯人を見つけるため組織にとびこむ展開などはらはらしながら楽しめました。今までの知念さんの作品とまた違う新しい印象をうけました。
ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
エイリアンハンドシンドローム、この設定が斬新。「サファイヤ」「謎の美女」かなり大人の雰囲気で、知念さん初めての境地とダークな色が新鮮でした。「あーそうだったのか」と納得した時にどんでん返しに次ぐどんでん返しで自分を忘れてもっていかれてしまいました。
兄弟って何だろう? 自分の一部をもっているけど自分じゃない。
幕引きは感動と温かさでいっぱいになりました。
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『皇后は闘うことにした』林真理子・著
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