インタビューほか

この原発なら福島やチェルノブイリは
起こらなかった!

「本の話」編集部

『原発安全革命』 (古川和男 著)

 本来、核分裂というのは化学変化でもあり、液体で取り扱うべきものなのです。核燃料が液体だったら、今言った技術的難点はほとんど解決できます。反応のコントロールが容易で、決定的に安全性が向上します。炉の構造も単純になり、保守・点検が簡単になるだけでなく、ロボットなどを利用した遠隔管理も実現でき、作業員の被曝(ひばく)も最小限にできます。

 結局、固体燃料を採用している今の原発の設計思想は、核化学反応の本性を無視しているとしか言いようがない。それで、「合理的な技術の原理で対応」するのではなく、「多重防護という無理筋対応」をするしかなくなっているのです。

非常時、燃料はガラス状に固まる

――古川さんの提案する炉では、「全電源喪失」が起こったらどう対処するのですか?

古川  そのお話をするには、液体燃料とは何か、を先に説明しておかねばならないので、ちょっとその話をします。液体にもいろいろあって、我々が提案している液体は熔融塩というものです。塩(えん)というと、皆さんはまず食塩を思い浮かべるでしょうが、その親戚みたいなものです。地球のマグマをイメージしていただいてもいい。放射線を浴びても変質したり壊れたりしない、とても安定した液体で、これに核燃料を溶かし込んで使うわけです。この熔融塩燃料は、冷めるとガラスのように固まります。空気や水と反応しません。

 で、「全電源喪失」ですが、今の原発でこういう事態になると、核燃料が冷却できなくなって「崩壊熱の暴走」が起こるわけですね。しかし、そもそも熔融塩燃料なら核反応のコントロールはきわめて容易で、弁を開き、真下に設置されたホウ酸水の冷却プール内のタンクに燃料塩を落としてやれば、炉内に燃料がなくなるわけですからすぐに連鎖反応が止められるだけでなく(燃料が炉内にあるからこそ連鎖反応が起こる仕組みになっている)、摂氏約五百度以下になると、今述べたように燃料塩はガラス状に固まります。こうして非常時の処置として、燃料塩をタンクに落とし自然冷却すればよいのです。この落下弁は、炉の運転時は冷却して凍らせているのですが、冷却をやめると融けて開くので、電気不要です。だから「崩壊熱の暴走」を心配する必要はない。

 原発事故で一番怖いのが放射性物質の外部への流出で、今回もガスとして、あるいは水に溶けて漏れ出たわけですが、ガラス固化した燃料塩なら、気化もせず、水にも溶けないので、流出はありえません。また、炉の運転時、核反応に伴い発生するガスは、常に炉から除去する仕組みになっているので、事故時に炉に残存しているガスはほんのわずかです。

 仮にテロなどで炉が破壊されても、炉の外に漏れ出た燃料塩は、すぐに冷めてガラスのクズ状になるだけで、炉は停まります。つまり「反応を止める」「冷ます」「漏れを防ぐ」というすべての面で、熔融塩燃料は理想的なのです。

原発安全革命
古川 和男・著

定価:840円(税込) 発売日:2011年05月20日

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