- 2010.05.20
- 書評
旅先のご飯は絶対にはずしたくない
文:さとなお (クリエーティブ・ディレクター/作家)
『朝昼晩ごはん全部うまい店! 極楽おいしい二泊三日』 (さとなお 著)
ジャンル :
#趣味・実用
その情熱は沖縄で加速した。
沖縄のあの独特な食文化に魅せられてしまったのである。で、砂浜も珊瑚礁もリゾートホテルもすべて無視して「琉球料理を食べるためだけに」しょっちゅう沖縄に通うようになった。沖縄そばだけで100軒近く食べている。琉球料理も含めると数百軒はまわっている。そのおバカな旅は『沖縄やぎ地獄』(角川文庫)や『沖縄上手な旅ごはん』(文春文庫PLUS)という本にもなっている。まったく、美しい海にも潜らず、いったい何やっているんだか。
そう、もうおわかりだと思うが、そんな酔狂な旅の結晶がこの『朝昼晩ごはん全部うまい店! 極楽おいしい二泊三日』という本なのである。日本全国15都市、旅の食事をどう充実させるべきかを書いたものだ。
二泊三日の旅だと、ご飯のチャンスは7チャンスしかない。
旅の地に昼前に着くとして、その日の昼ご飯、夜ご飯、翌日の朝ご飯、昼ご飯、夜ご飯、最終日の朝ご飯、昼ご飯の7チャンスしかないのだ。この7チャンス、ひとつも無駄にせず、すべておいしい店に行きたいではないか!
だって、苦労して取った貴重な休みなのである。上司に頭を下げ、同僚にごめんねーと詫び、お金も工面して、ようやく取った二泊三日である。だからこそ7チャンスをひとつたりともハズしたくない。だってもうその土地にも一生行けないかもしれない。もう二度と来られないかもしれないその地のおいしい店を食べ逃すなんてくやしくない?
さいわい、ボクは15年サイトをやっていて、おいしいもの好きの読者が多数いる( 「www.さとなお.com」:http://www.satonao.com/)。だから、ガイドブックやネット上の情報だけでなく、現地の読者からの穴場情報などもいろいろ入る。事前にそれを調べるだけでなく、現地に着いてからもツイッターを使って情報を集め、ひたすらおいしい店を食べ歩いてきた。そうして得られた経験を一気に吐き出してみたのが本書である。
保証する。ご飯を充実させると、おいしい思い出だけでなく、アナタの旅は数倍の楽しさになる。
だって店を探訪するために予定もしてなかった場所にでかけるし、思いも寄らぬ出会いもある。地元の人しか行かない場所へも出かける。これがどれだけ楽しいことか。
この本を手に、ぜひ「食べるためだけの旅」に出ていただきたいと思う。朝も昼も夜も、おいしい店で“のみ”食べて、思い出深い旅にしていただきたいと思う。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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