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ジャンルわけはどうやって決まる?<br />なぜ雑誌は入口にある?

ジャンルわけはどうやって決まる?
なぜ雑誌は入口にある?

「本の話」編集部

お店のジャンルの担当や棚構成はどうやって決まっている?

多くの方がプロフィールに「担当」を書かれていますが、それはどのようにして決まるんですか? 好きな分野、得意な分野を受け持つのでしょうか?(宮城県 20代 男性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 会社、店舗の判断で担当が決められます。大きな店では事務、客注、仕入などジャンル以外の担当もあります。好きで得意でもそのジャンルの担当になるとは限りません。好きでありすぎることが棚作りの邪魔になることも。メンバーの特質を考慮して担当は割り振られます。

 

高橋佐和子(山下書店南行徳店)

 書店によって違いますが、最初の面接時に「好きな分野(ジャンル)はありますか?」と聞かれ、その時答えた分野を受け持つ場合が多いように思います。また、担当者がいないなどの空き状況によって決められる場合もあります。3年間で3カ所変わるときもあれば、10年間同じジャンルの人もいます。得意ではない分野に決められることもあります。街の書店の場合は、全分野をある程度知るように求められたりもします。

 

お店によってなぜジャンル分けが違うのですか。(奈良県 70代 男性)

岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)

 ジャンル分けは、店舗の担当者達が著者の経歴や著作群、その本のテーマ・内容と言ったセールスポイントを把握した上で行っています。大抵の場合、店舗間で大きく分かれる事はないのですが、中にはご指摘される様に置き場所に悩まされる本もあります。ベストセラー『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)もその一つで、岸見さんのキャリア重視で心理学に置く店舗と、アドラー心理学を使った自己啓発書という内容重視からビジネス書に置く店舗に分かれています。どちらもこの本の売り方見せ方を考えれば「アリ」でしょうし、現にどちらの場所でも結果を出しています。『嫌われる勇気』のような本は稀ですが、どのジャンルに置けばお客様が本を買っていって下さるのか? 一箇所なのか複数のジャンルで置くべきかどうか? といったことを考えながら、担当者は置き場所見せ方について、毎日試行錯誤しています。

 

出版社別に陳列しているのは何故? 著者別の方が探しやすい。(東京都 40代 男性)

内田剛(三省堂書店神田神保町本店)

 文庫の場合、著者で探される方と同じくらいレーベルで探す方も多いです。特に新刊は○○文庫新刊で宣伝もされますので。既刊は著者別の方が、有効かもしれませんが今度は本屋都合で恐縮ですが、欠本調査や補充作業のメンテナンスが極めてやりにくく、探しやすさよりも売り逃しのリスクの方が大きくなってしまいます。著者別と出版社別、両方の棚があればいいですがスペースもなく、時代小説の文庫の棚が著者別で馴染んでいるくらいです。今後、検討の余地はあると思います。

 

新刊書は発売されてからいつ頃まで「新刊」扱いで店頭にならべられているのでしょうか。業界で決まりがあるのか、店舗できめられるのか?(東京都 50代 男性)

岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)

 月に一度発売日が設定されている文庫・新書・コミック、またはシリーズ刊行されている単行本は次回の発売日まで原則「新刊」として扱っています。それ以外の単行本も発売日からおよそ一カ月が「新刊」の目安にされているのではないでしょうか。ただ、「新刊・話題書」としてスペースを設けている棚での平積み・面陳展開では、その本の売れ行きや新たに入った新刊との兼ね合いを見極めて一カ月よりも短くなるケースもあります。

 

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