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〈知の産物〉と現代社会の問題意識を橋渡しする<br />

〈知の産物〉と現代社会の問題意識を橋渡しする

文:「文春学藝ライブラリー」編集部

「文春学藝ライブラリー」新創刊!


ジャンル : #ノンジャンル

現代に蘇る卓見



 さらに『支那論』と『デフレ不況をいかに克服するか』に至っては、これが歴史的な作品なのだろうか、と驚きさえ禁じえません。

支那論』の著者・内藤湖南は、明治期に「萬朝報」「大阪朝日」でジャーナリストとして活躍し、後に京都帝大で東洋史講座を担当した、明治~昭和初期を代表する漢学者です。

 この『支那論』の原著刊行は大正3(1914)年、つまり100年前のことですが、本書で内藤湖南が問うのは、「中国は近代化を経験したのか」「その中国において民主化はなしうるのか」という、まさに現代に通じる問題意識でした。

デフレ不況をいかに克服するか』は、大恐慌の時代にルーズベルト米大統領が主導したニューディール政策の理論的支柱となったケインズの16本の論文・講演を初邦訳したものです。1930年代といえば80年も昔の時代ですが、その主張は、デフレ脱却に向けた「アベノミクス」の先行きを考える上で、示唆に富みます。

〈賢者は歴史や経験に学び、愚者は歴史にも経験にも学ばない〉とは作家・塩野七生氏の言ですが、まさに現代の日本が直面している「中国」「デフレ不況」という二大難問を解くカギが、ここにあるのではないでしょうか。

 一見すると、現代の問題意識と百年前の言説は結びつかないかもしれません。その橋渡し役を果たすのが、しかもハンディな文庫判でお届けするのが、この「文春学藝ライブラリー」なのです。インターネットになぞらえれば、ハイパーリンクの役割と同じです。

「文春学藝ライブラリー」は、10月から隔月(偶数月)刊でスタートします。12月以降も、山本七平、保田與重郎、磯田道史、R・ニクソン、井上ひさし氏等の著作を、順次刊行していきます。

 最後に、前出・塩野七生氏が創刊に寄せた一文を紹介します。

〈今よりは格段に情報が少なかった時代、人間にはより多く、より深く考える時間があった。その時代に書かれた、それも名著とされてきた著作を読んでみるのは、読書が職業でない人々にとっても、発想の転換に役立つのではないかと思う。
 情報の海に溺れる愚かさから救いあげてくれるのは、この種の救命具ではないのか、というのが、これまで長く歴史上の人間たち、つまり情報が少なかった時代に生きた人々を書いてきた私の正直な想いでもあるのです〉

 私たち編集部が「文春学藝ライブラリー」に期するものも、同じ志です。

近代以前
江藤 淳・著

定価:1350円+税 発売日:2013年10月18日

詳しい内容はこちら

保守とは何か
福田恆存・著 浜崎洋介・編

定価:1470円+税 発売日:2013年10月18日

詳しい内容はこちら

支那論
内藤湖南・著

定価:1350円+税 発売日:2013年10月18日

詳しい内容はこちら

天才・菊池寛
文藝春秋・編

定価:1110円+税 発売日:2013年10月18日

詳しい内容はこちら

デフレ不況をいかに克服するか
ジョン・メイナード・ケインズ・著 松川周二・編訳

定価:1120円+税 発売日:2013年10月18日

詳しい内容はこちら

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