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家人も寄せ付けなかった城山三郎の書斎

家人も寄せ付けなかった城山三郎の書斎

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 城山三郎の自宅の書斎は厳重に管理されていた。

〈鉄の扉を開くと、木の扉があり、さらに襖を開けないと、この書斎には入れない。家人も寄せ付けないというほど、この書斎は厳重に外部と遮断されている。ここにも氏の執筆姿勢がしのばれる〉(「文藝春秋」昭和五十三年=一九七八年十月号)

 城山三郎は昭和二年(一九二七年)年生まれ。少年兵として戦争を体験した。昭和三十四年〈総会屋錦城〉で直木賞を受賞。経済小説の先駆者として数多くの作品を残した。晩年のエッセイにこう記した。

〈残された私の歳月には限りがある。あの世へ行ってから悔やんでも始まらない。それよりもやはり仕事を追って、猟犬のように生き、いつかはくたびれた猟犬のように果てることだ。

 ワープロも、コンピュータも使えぬ私は、3Bの鉛筆で下書きをとっては、ペンで原稿用紙に向かう。仕事に追われているより仕事を追っている気分に、ほんの一時、救われている思いで〉(「仕事と人生」角川文庫より)

 平成十九年(二〇〇七年)没。

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