たとえば、一般的には保存容器は遮光してあるものがいい、と書いてあることが多いですが、私はあえて、ガラスのビンに仕込んでいます。味噌の変化が日々見えるので、愛着がわくし、インテリアとしてもかわいい。重石なども使いません。本来、邪道かもしれないけど、それで味噌ができないわけじゃないし、自分が楽しく続けやすいほうがいい、と考えてのことです。それで一度も失敗したことはありませんし、たまにカビが生えてもそこを捨てればいいだけです。
ですから難しく考えずに、気軽に自分の生活に取り入れやすい方法で始めてみればいいと思います。自分で作った味噌の味は格別です。もちろん、味噌も、漬け床としても使えますし、洋風にアレンジしたりと幅広いレシピを載せています。
ぬか漬けは、塩麹や味噌に比べると続けるのが難しいかもしれません。私も最初にぬか床を始めたときは、日々できる漬物を食べきれなくなり、結局駄目にしてしまいました。
が、あるとき、四川料理屋さんで、インゲンと漬物と肉を炒めた料理を食べて、漬物って生で食べるだけじゃなく、肉の脂で炒めることでお互いの旨味を引き出すということに気づいたんです。
以来、ぬか漬けを料理に使うようになり、食べきれなくなることもなくなりました。ぬか床は魚や肉を漬けても美味しいですし、ぜひ、使い方の可能性を広げてみてほしいですね。
本書では、塩麹、味噌、ぬか漬けの作り方&使い方(レシピ)のほかにも、チーズ、アンチョビ、塩辛、ヨーグルトなどの、市販の発酵食を使ったレシピもたくさん、ご紹介しています。どれもお酒にも合い、ごはんもすすむ料理ばかりです。
決して健康志向の禁欲的な本ではありませんが、発酵食が、ジャンクフード以上の“奥深い旨味”を持つことに気づいていただき、美味しいものを追求していたら、身体にいいものが大好きになっていた……と、なれば、大変嬉しく思います。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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