インタビューほか

「攻めの失敗」「守りの失敗」

「本の話」編集部

『虚報』 (堂場瞬一 著)

 今年で、作家デビュー十年になる堂場瞬一さん。スポーツ小説『8年』で小説すばる新人賞を受賞し、その後、警察小説「鳴沢了」シリーズは累計百五十万部という大ベストセラーとなった。堂場さん文春初登場となる『虚報』は新聞記者を主人公にした意欲作。堂場さんに本作への思いを聞いた。

──まず、週刊誌がスクープして新聞が追いかけますね。それにテレビも絡んでくる。マスコミそれぞれの取材の仕方なども面白く読みました。

堂場  私も週刊誌に抜かれたことがありますが、これは凹(へこ)むんですよ。こちらは毎日出しているのに、なんで週一回しか出ない雑誌に負けるのかと。ただ、それも十年以上前のことです。最近、週刊誌も特ダネが少ないかな、と思っていて、週刊誌に対するエールの意味も込めて書きました。事件取材は週刊誌も難しくなってきていると思うのですが、ただ、インターネットでは、事件ものは相変わらず人気があります。新聞も週刊誌も古いメディアですから、だいたいパターンが決まっていますよね。ここでどう新しい切り口をみつけるか。いまのメディアに対するメッセージが込められています。 

「失敗のポイントは外していない」?!

──タイトルについて伺います。『虚報』とはあまり馴染みのない言葉ですが。

堂場  普通は誤報ですよね。虚報は、よりでっち上げに近い。本書で扱った記事は、でっち上げというのはちょっと言い過ぎかもしれません。しかし、誤報のレベルではないと思っています。書く人間の思い込みが強く、一方的に正しいと解釈して書いてしまった記事。これは僕の基準では誤報とはいえません。ある意味、誤報より悪質です。

──「信じたい」という思いが勝ってしまった失敗ですね。

堂場  そこが失敗の本質ですね。これは情報産業に携わっている人間にとっては致命的です。

──失敗に突き進んでいく記者の焦りが、痛いほどリアルに伝わってきます。

堂場  だから、書いているときは暗かったですよ。例えば、スポーツ小説で、ピッチャーの調子が悪くなっていくのを書くのとは全く違う。メンタルな問題だけに、重かったです。ただ、どうやって失敗するかが今回の要諦でしたからね。功名心、リカバーしたいという気持ち、若気のいたり、経験のなさ、肝心なときに肝心な人がいないこと等々、失敗のポイントは外していないと思います。

──失敗を知ることで、落とし穴を避けることができるかもしれません。

堂場  まさに。これは、新聞記者を主人公にしたサラリーマン小説です。働く男たちの小説です。読者の方は、これを読んで、落とし穴に嵌(はま)らないようにして頂きたい(笑)。

虚報
堂場 瞬一・著

定価:1680円(税込) 発売日:2010年01月28日

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