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『花の鎖』解説

『花の鎖』解説

文:加藤 泉 (株式会社有隣堂店売事業部勤務)

『花の鎖』 (湊かなえ 著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

 そのデビュー作「聖職者」は、『告白』というタイトルで二〇〇八年八月五日に発売されることになりました。

 八月と言えば弊社では棚卸し月にあたり“冒険”しにくい時期なのですが、『告白』に関しては絶対売らなければならない、いや売れる、と確信しておりましたので、一〇〇冊仕入れ、強気の手書きPOPを付け、レジ前の一等地で多面展開をしました。

 あれほど遮二無二「お客様を引っ張った」感覚は、後にも先にもありません。発売当初の一日五冊ペースから次第に売れ数が増し、三桁の単位で追加発注が続くようになりました。

『告白』は、世間での評判も徐々に広がり、二〇〇八年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第一位、二〇〇九年には第六回本屋大賞を獲得しました。『告白』発売時の一連のプロモーションの中、湊さんと少なからず交流させていただけたことが、今回の解説執筆に繋がっていると理解しております。

 その後の湊さんの快進撃は皆様もご存知のとおり。三作目の『贖罪』で第六三回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補となり、「望郷、海の星」で第六五回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。これまで上梓された一三作品中六作が映画化・ドラマ化され、大ヒットしています。中でも、中島哲也監督、松たか子主演の映画『告白』は第三四回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、映画化と同時期に刊行された文庫本は二五〇万部を突破。湊さんは、名実ともに実力派作家として階段を着々と上っています。

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花の鎖
湊かなえ・著

定価:620円(税込) 発売日:2013年09月03日

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