- 2016.12.16
- 書評
SMAP解散劇の真相に迫る徹底取材ドキュメント
文:文藝春秋ノンフィクション出版部
『週刊文春記者が見た「SMAP解散」の瞬間』 (鈴木竜太 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
「対立するならSMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう」(メリー喜多川副社長) 「辞めるんだったら、勝手に辞めればいいじゃん。俺たちを巻き込まないでよ」(木村拓哉) 「話すわけないじゃん。だって、文春さんは敵でしょう」(中居正広) 「このままフェイドアウトしちゃダメだ」(ジャニー喜多川社長) 「僕たちは15年前にもう壊れていたんです」(草なぎ剛・香取慎吾) 「(事務所に)感謝するのは当り前。それをわからなかったらアホでしょう」(滝沢秀明) 「社長になんかなるつもりなかった」(飯島三智・元SMAPマネジャー) 「僕はどうなっちゃうんですか?」(山下智久)
いよいよその日が近づいてきました。
日本中を驚かせた分裂騒動の発覚から1年。大晦日、20年以上にわたってトップ・アイドルであり続けたSMAPがついに解散します。
この解散劇の背景には、SMAPが所属するジャニーズ事務所内の“派閥問題”があったと見られています。そうした状況が広く知られるようになったのは、週刊文春のある記事がきっかけでした。
『ジャニーズ女帝 怒りの独白5時間』と題されたメリー喜多川副社長のインタビュー記事は、2015年1月22日発売の週刊文春に掲載され大反響を呼びました。
ジャニーズ事務所の後継者問題などについての質問状を送ると、滅多に取材を受けないメリー喜多川副社長が応じ、ジャニーズ事務所本社で行われたインタビューは5時間に及びました。
驚くべきことに、その途中、メリー喜多川副社長はSMAPの敏腕マネジャー飯島三智氏を突然呼び出し、記者の面前で叱責したのです。
「私、飯島に初めて本気で怒鳴っています。何で私が社員と対立しなきゃならないんですか」
このインタビューの直後、飯島マネジャーは独立を決意したと見られます。
いったいジャニーズ事務所で何が起こっていたのか? 派閥問題とは何か?
その真実に迫るべく、週刊文春の取材班が総力を挙げた取材のすべてをまとめたのが本書『週刊文春記者が見た「SMAP解散」の瞬間』です。これまで週刊文春で報じた内容はもちろん、未発表だった取材も含めたまさに「完全版」です。
たとえば解散・分裂騒動が明らかとなる直前の、2015年末のNHKホール――。
紅白のリハーサルの合間に著者が喫煙所にいると、そこに草なぎ・香取の2人が入ってきました。しばらくして木村がまた――。それは、国民的アイドルグループの危機がはっきりとわかる瞬間でした。
そして何よりも本書の特徴と言えるのが、「当事者の言葉」です。先述のメリー喜多川副社長の他にも、ジャニーズ事務所幹部の実名インタビューで解散劇の詳細な経緯を明らかにしています。騒動の中でSMAPのメンバー5人が何を語っていたのかを取材によって明らかにするとともに、中居正広・工藤静香・滝沢秀明らへの直撃取材では生々しい肉声を捉えています。
極め付きは飯島・元マネジャーへの直撃取材でしょう。一連の騒動について一切コメントをしていない飯島氏が、著者の直撃取材に足をとめました。
――SMAPのメンバーは動揺しているのでは?
「そんなに弱くないと思います。そんなに弱くはない」
時に涙を見せながら語る飯島氏との一問一答を詳細に収録しました。
なぜSMAPは解散という道を選んだのか、その真相にここまで迫ったドキュメントは他にないでしょう。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。