朝日新聞二〇〇九年三月三十日付に掲載された、〈「昭和」で思い浮かぶ人物〉というテーマの世論調査で、上位二十人中、唯一企業経営者として八位にランクインしたのが、松下幸之助。ちなみにこのアンケートの上位は、一位昭和天皇、二位田中角栄、三位美空ひばりだった。
裸一貫から身を起こし、パナソニック(旧社名松下電器産業)を世界的大企業に育て上げた。「経営の神様」とよばれたカリスマは、経済的に豊かになった戦後日本の高度成長を象徴する存在だった。
家電製品でナショナルをトップブランドの座に就かせたばかりでなく、会長職に退いたのちはPHP研究所や松下政経塾を設立するなど、哲学を持った経営者であった。 「水道水のごとく、物資を大量にかつ廉価で提供することに産業人の使命がある」と豪語し、のちに水道哲学と呼ばれた。写真は昭和四十五年(一九七〇)に撮影されたもの。平成元年(一九八九年)、昭和の終わりとともに世を去った。享年九十四。
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