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晩年はエッセイストとしても活躍した池部良

晩年はエッセイストとしても活躍した池部良

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 大正七年(一九一八年)生まれ。父は著名な洋画家・風刺漫画家の池部鈞。岡本太郎は従兄弟にあたる。立教大学在学中から映画監督を志望して、東宝撮影所のシナリオ研究所の研究生となる。文芸部に配属されたが、子役スターだった中村メイコの子守をした縁で、島津保次郎監督の「闘魚」で脇役として銀幕デビューする。

 昭和十七年(一九四二年)、陸軍に召集され、中国に渡り、昭和十九年南方戦線に送られる。輸送船で移動中に撃沈され、十時間もの間漂流したが、海軍の艦船により救出され九死に一生を得た。インドネシアで終戦を迎え、苦難の末翌年帰国する。腸チフスで苦しむが、高峰秀子らの熱心な説得を受け、東宝に復帰する。昭和二十四年の「青い山脈」をはじめ、二枚目の青春スターとして主演作がヒットした。

「坊っちゃん」「雪国」「暗夜行路」などの文芸路線をはじめ「暁の脱走」などの戦争映画、さらに「重役の椅子」といったサラリーマンを題材にした都会派の映画と幅広いジャンルで主役をつとめた。また、高倉健主演の「昭和残侠伝」シリーズにも出演、ヒットさせた。昭和四十年、東宝を離れて独立し池部プロダクションを設立するが、昭和四十二年に倒産する。

 六十代後半からは、文筆活動でも注目を集めるようになり、平成三年(一九九一年)「そよ風ときにはつむじ風」で日本文芸大賞を受賞し、晩年はエッセイストとしても活躍した。平成二十二年没。写真は昭和五十二年撮影。

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