原田さんは、沖縄を舞台とした純愛小説『カフーを待ちわびて』でデビューした。同作品は映画化もされ、ロケ地めぐりがファンの間でブームになるなど、スマッシュヒットを記録した。
「沖縄は会社員時代に旅行で何度も訪れましたから、美しい、のんびりできる、開放的というイメージが元々私の中にあったんです。『カフー』を書こうと取材を始めた時点で、沖縄のネガティブな情報は分かっていましたが、純愛小説を書くにあたって、敢えてそれには意識的に蓋をしたんです」
ネガティブな情報とはもちろん沖縄戦であり、またそれ以前の被支配者として翻弄され続けてきた歴史だ。そのことでずっとモヤモヤしてきた。
「そんな中、2009年3月、たまたま観たテレビのドキュメンタリー番組で、戦後の那覇にかつて存在した“ニシムイ美術村”を知りました。ニシムイでは後の沖縄画壇の中心となる画家たちが、米兵相手に土産物として絵を描いて売っていたというのです。そして彼らと交流した、沖縄駐留軍の精神科医だったスタンレー・スタインバーグ博士のコレクションが、沖縄県立博物館・美術館で展示されている、と」
原田さんは「これだ!」と思い、すぐに翌日の航空券を予約し、とるものもとりあえず、那覇に向かった。
「ギャラリーに入った瞬間のことは今でもはっきりと思い出せます。まるで突風が吹いてきたように、画家たちと博士の間に流れている物語を“発見した”という感じがしました」
後に森美術館設立準備室、MoMA勤務の経験を生かして、『楽園のカンヴァス』、『ジヴェルニーの食卓』という、アートをテーマにした小説を上梓。高い評価を得る原田さんだが、この時はまだそれらも構想段階だった。
「スタインバーグ博士はカタログに『私たちは、互いに、巡り合うとは夢にも思っていなかった』と書いていました。ニシムイが存在したのは
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書かなければいけない真実の物語
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原田マハ『太陽の棘』
2014.04.18特設サイト
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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