明治三十年(一八九七年)山口県生まれ。結婚、離婚、再婚後、一時上京して給仕をしているときに、久米正雄や芥川龍之介、今東光らと知り合った。その後北海道に行くが、大正十年(一九二一年)、小説「脂粉の顔」が「時事新報」の懸賞小説に入選し、翌年上京する。尾崎士郎、東郷青児、北原武夫らとの奔放な恋愛生活で話題を呼んだ。
昭和十年(一九三五年)「色ざんげ」を上梓。翌十一年には、スタイル社を経営し、服飾雑誌を発刊。戦後、昭和三十二年には長編小説「おはん」で野間文芸賞を、翌年には日本女流文学者賞を受賞した。昭和四十七年、芸術院賞を受賞。昭和五十七年に菊池寛賞を受賞した。
恋多き波乱の人生だったが、文藝評論家の佐伯彰一氏は「童女と妖女を宇野さんはその内部に見事に同居させて、生きてこられた」(「文藝春秋」昭和五十九年五月号「童女のごとく妖女のごとく」より)という。
〈毎夏ご一緒する、さる文学賞の選考会議の席上で、こんなこともあった。どうやら、宇野さんご自身、ひそかにひいきなさっていた作品が、席上一せいの支持を集めた折、思わず手を打って、「あぁら、うれしいわ」と、しんから嬉しそうにおっしゃった。少しでもわざとらしさがつきまとうと、やり切れなくなりそうな仕草と発言が、いかにも伸びやかで、童女さながらの自然さなのだ〉(同)
写真は昭和六十年、米寿のお祝いに開かれたパーティで撮影されたもの。派手な服装で、「宇野千代ショー」みたいになりますと予言したとおりのパフォーマンスだった。平成八年(一九九六年)没。
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