知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、日本語の美しい本についてお答えいただきました。
秋も深まり、しみじみと本を読みたい季節です。こんな質問を頂戴しています。
日本語の使い方が上手だ、または綺麗だなと思う作者の本を教えてください。ジャンル問わず、読みやすい本であれば助かります。(東京都 20代 女性)
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内田剛(三省堂書店神田神保町本店)
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迷わずに石田千さんの作品群をオススメします。エッセイも小説もはずれはありません。特に句読点の使い方が巧みで、間合いが非常に素晴らしいです。行間からにじみ出る情感が何とも言えず……『月と菓子パン』『踏切趣味』『屋上がえり』『店じまい』『きんぴらふねふね』『バスを待って』『きつねの遠足』タイトルを並べただけで、読みたくなったことでしょう。
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野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)
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独特の美しい表現を使う作家さんだな、と思う小説家は道尾秀介さんです。比喩表現、文章の長短の使い方、おそらく構成も、表現のために吟味されつくしているように思います。
余計なものがない、そがれているな、と思う小説家は湯本香樹実さんです。シンプルであるとは思わないのですが、言葉に過不足がないと言いますか。特に好きな作品は『岸辺の旅』(文春文庫)です。
日本語の可能性にチャレンジするような使い方をする作家さんだな、と思う小説家はいしいしんじさんです。江國香織さんは言葉の選び方が美しいな、と思いますし、角田光代さんの文章も凄味があって好きだなと思います。梨木香歩さんの書かれるエッセイは思考の足跡を追っていきたいと思わせるものです。柴田元幸さんや、サイエンスノンフィクション翻訳の青木薫さんの訳は読みやすく好きです。
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岡一雅(MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店)
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『子どもの難問』(野矢茂樹・編/中央公論新社)。疑問を感じたら素直に周りの大人たちに聞く子供たち。そんな子供たちとの問答の形を借りて、22の哲学的な疑問に錚々たる哲学者たちが答えたアンソロジーです。シンプルな問いに答えるべく、深く考え抜かれた思考と丁寧な文章は、読んでいてとても心地よいものです。
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高橋佐和子(山下書店南行徳店)
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『錦繍』(宮本輝/新潮文庫)も良いですが、宮本輝さんの文章は他の作品も強く優しく、美しいなと思います。私は『骸骨ビルの庭』(講談社文庫)が好きです。
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『さらば故里よ 助太刀稼業(一)』佐伯泰英・著
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