インタビューほか

ひとり東京に来た経緯を正直な気持ちで綴った

「本の話」編集部

『パリに住むこと、生きること』 (雨宮塔子 著)

――2年の間に2軒も探した不動産の顛末が描かれています。フランスと日本の不動産賃貸の大きな違いとは?

雨宮 フランスではアパルトマンや一戸建ての個人貸し(賃貸)があるんですよ。当人同士のみの手続きで部屋を貸し借りできる。パリの不動産は競争率が激しいので、横のつながりを活用しないとなかなかいい物件が見つけられないんです。嬉しかったのは、日本人は部屋を丁寧に使うからという理由で、それが評判となって、また日本人に貸したいという大家さんもいたりして。インテリアの面で言うと、フランスでは日本と違って賃貸の部屋でも棚を作りつけたりできるので、それが楽しいですね。日本では、賃貸を終了する際に、契約上、元に戻すのが一般的だと思うのですが、フランスではきれいにする分には、請求がこないんです。

娘の本棚はピンクのペンキで塗装した

――日本人が見習うべきだなと思うフランス人のライフスタイルとは?

雨宮 賃貸物件でも住む人の工夫次第で、理想の形に近付けられるのが、フランスの楽しいところですね。日用大工センターも盛況です。ペンキの色が豊富なのはもちろん、好みの色に近づけるために、まぜてもらうことだってできるんです。私の好きなグレーだけでもいろいろな色がある。高級ペンキショップもあるんですよ。見ているだけでも楽しいです。エッセイの中でも書きましたが、しょっちゅう日曜大工センターに行ってたら、店員さんに「またきたの?」って顔を覚えられました(笑)

――エピローグでは、ニュースキャスターという仕事を引き受け、一人東京に戻った経緯を本音の部分で書きましたね。

雨宮 子供たちと離れ離れになり、東京に一人働きにきた今の状態は、それまでとまったく違います。私はいつもエッセイで正直な気持ちを綴ってきたつもりです。だからエピローグでは、そこに触れざるを得なかったのです。

――どんな方に読んで欲しいですか?

雨宮 年齢を重ねるにつれ、悩みは奥深くなるものですよね。自分の問題だけでなく、親の介護や子供の思春期など、時に乗り越えるのにとてもしんどい時期が訪れます。私も、私なりに自身の身に起きたその時、その時の転機にあたってどんな決断をしたのかを綴りましたが、それが少しでも、いままさにしんどい時期を迎えられている方々の励みと支えになればという思いです。

雨宮塔子 Toko Amemiya

雨宮塔子(撮影・篠あゆみ)

フリーアナウンサー/エッセイスト。
1970年東京生まれ。成城大学文芸学部英文学科卒業。1993年TBS(株式会社東京放送)に入社。同年「どうぶつ奇想天外!」、翌年「チューボーですよ!」の初代アシスタントを務めるほか、報道番組やスポーツ番組、ラジオ番組などでも活躍。1999年3月に6年間のアナウンサー生活を経てTBSを退社。単身、フランス・パリに渡り、フランス語、西洋美術史を学ぶ。2002年パリ在住のパティシエ青木定治氏と結婚。2003年長女を、2005年長男を出産する。2014年結婚生活を解消。2016年7月「NEWS23」(TBS)キャスターに抜擢。拠点を日本に移す。雑誌「ロフィシャル ジャパン」でもエッセイを連載中。
著書に『金曜日のパリ』、『雨上がりのパリ』(ともに小学館)、『それからのパリ』(祥伝社)、『パリ アート散歩』(朝日新聞出版)、『パリごはん』『パリのmatureな女たち』(幻冬舎)、『パリ、この愛しい人たち』(講談社)等。

パリに住むこと、生きること
雨宮塔子・著

定価:本体1,400円+税 発売日:2016年11月25日

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