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人生が有限であると知ったときに見えてくるもの

人生が有限であると知ったときに見えてくるもの

『永遠の詩 (とわのうた)』


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『永遠の詩』 (香月夕花 著) 装画・塩月悠

━━東京都の貴島雄太朗さんの青樹舎硝子工房で取材をされたと聞きました。

「そうなんです。熔解炉を間近で見せていただきました。熔解炉の開口部は、普段は小さいんですが、特別に開けてくださったときに、熱がぶつかってくる感じに圧倒されたんです。永遠に消えない火の強さを感じました」

━━永遠に燃え続ける炎の力が、元基に影響を与えた。一方で、自分が永遠に生きると思っていると、私たちは、無駄なことにこだわってしまいます。元基も“継母が本当は自分のことをどう思っているのか?”“なぜ自分が選ばれたのか?”という問いの答えを探して苦しみます。

「人生には終わりがあると実感したときに、人はようやく、最後に持っていくものを取捨選択できるようになるのではないでしょうか。憎しみという感情を最後まで持っていたら、どうなるのか。作中のある登場人物が、“美しいところだけを見て、生きていくのよ。哀しいことにつきあってる時間なんてないの。遅かれ早かれ、みんな死んでいくんだから”と元基に語り掛けます。憎しみや怒りを捨てることは、実際には難しいことだとは思いますが、どうすればできるのか。元基の苦悩を通じて、読者の皆さんの心に届けられればと思っています」

 気鋭の芸術家・塩月悠 氏による、悪女とも聖女ともとれるような女性を描いた装画も印象的だ。

 直木賞作家・桜木紫乃氏が「男と女、人の世の仕方なさ、これは現代版の源氏物語だ」と評した物語は、『水に立つ人』で鮮烈なデビューを遂げた著者の、さらなる飛躍を感じさせる作品だ。


〈著者プロフィール〉
香月夕花(かつき・ゆか) 1973年、大阪府生まれ。2013年「水に立つ人」でオール讀物新人賞を受賞。2016年に短編集『水に立つ人』を刊行。本作が初の長編となる。

〈装画製作者プロフィール〉
塩月悠(しおつき・ゆう) 1982年、宮崎県生まれ。佐賀大学大学院修了後、第61回二紀展 奨励賞、第10回記念春季二紀展 新人選抜奨励賞、第12回九州二紀展 九州二紀賞(最高賞)などを受賞。2015年、二紀会準会員推挙。問い合わせはこちら>>https://s-art-web.com/sakka/profile/497.html

 

永遠の詩
香月夕花

定価:本体1,650円+税発売日:2018年10月05日

水に立つ人
香月夕花

定価:本体1,550円+税発売日:2016年09月30日

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