小説執筆のきっかけは「採用試験の自己PR」──瀬尾まいこ

作家の書き出し

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小説執筆のきっかけは「採用試験の自己PR」──瀬尾まいこ

インタビュー・構成: 瀧井 朝世 (ライター)

『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ 著)

──今、執筆時間はどのように確保できていますか。創作メモを作ったりは?

瀬尾 子どもが幼稚園に行っている間、1日3時間くらいはパソコンに向かいます。だいたい朝2時間、昼1時間ですね。

 よく編集者から「ここで“3日後”と書いてあるのに曜日が間違っている」といった注意をされるので、話が半分進んだところあたりでカレンダーを印刷して、この日にこれがあった、というのを書きこむようになりました。『そして、バトンは渡された』の時も、全員が登場した後で、優子が16歳の時はここにいた、17歳の時はこうしていた、というのは作りました。

──スランプに陥ったことはありますか。

瀬尾 スランプはないと思います。「もう書けないな、今日は」と思ったら買い物に行ったり他のことをすればいいし……。スランプになるほど真剣になっていないからですよね。これからはもっと真面目に書きます。いやいや、いつも真面目にやってるんですけれど。

──分かってます(笑)。他人の評価は気になりますか?

瀬尾 やる気が出ない時にネットの感想を見ることはあります。それで「面白かった」とか「次が楽しみです」とか書かれてあると、「めっちゃ喜んでる。じゃあ次書こう」と思います。普通に日常生活を送っていると、なかなか書こうと思うきっかけがないから、あえて感想を見てやる気を出すんです。

 でも、批判的な評価は気にならないかな。だって、合う合わないがあるじゃないですか。単行本を買ってくれたのに合わなかったという人がいたら、時間とお金をもったいないことにして申し訳ないなって思いますけれど、私にはどうしようもないから、気にしないです。私、メンタルが強いのかもしれません。

──今後書こうと思っているアイデアや構想はありますか。

瀬尾 3つあります。もう書き始めているのは、30歳になる男の人が、老人ホームに行ってギターを弾いて……って、説明するのが下手ですが、そんな感じの話です。あとの2つは、まだモヤッと考えているところです。


せお・まいこ
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文学科卒。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、09年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を受賞する。他の作品に『図書館の神様』『優しい音楽』『僕の明日を照らして』『強運の持ち主』ほか。近刊は『傑作はまだ』。

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そして、バトンは渡された瀬尾まいこ

定価:1,760円(税込)発売日:2018年02月22日


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