『羊と鋼の森』で本屋大賞を受賞した宮下奈都さんのトークイベントが10月23日に名古屋で開催されました。本をキーワードに街を盛り上げるブックマークナゴヤの一環として開催されたもので、会場には熱心な読者50人が詰めかけました。聞き手は、ジュンク堂書店ロフト名古屋店店長の石本秀一さん。
石本 名古屋に来られたのは何回目ですか?
宮下 作家になってから仕事で来たのは3回目だと思うのですが、福井からだと一番近い大都会というのが名古屋なんです。大きな買い物とかで高校生くらいから来ているので、そういうのも含めると何度も来ています。
今年の3月も、好きなロックバンドのライブがあって名古屋に来ました。でも名古屋から福井に帰る終電が早いんですよ。アンコールの最後の最後の曲を聞かないで走って新幹線に乗ったら、米原に停まらないひかりに乗っちゃって、京都で1泊することになりました。それだったら、最初から名古屋に泊まって最後の1曲まで聞けばよかったって。今でも夢に出るくらい残念です。
「本屋大賞」のノミネートは、どうやって知らされる?
石本 初めて「本屋大賞」にノミネートされたのが2011年の『誰かが足りない』(双葉社)でしたよね。僕らはよく分かないんですけれど、「ノミネートされましたよ」というお知らせというのは誰からやってくるものなんですか?
宮下 本屋大賞の実行委員会から出版社の営業を通じて担当編集者にいって、そこから私に連絡が来たんです。「宮下さん、ノミネートされましたよ!」って、すっごく嬉しそうな声で電話がかかってきて、私も嬉しかったんですけれども、担当編集者がそんなに喜んでくれるということがすごく嬉しかったことを覚えています。
石本 その時には、一次投票で順位が何位であるとかそういう情報はないんですか?
宮下 ないです! ないです! あんまり聞きたくないです。
石本 後々には分かるんですけれど、その時点では僕らも分からないんですよ。
宮下 私は知らないですし、誰がノミネートされているかということも一切秘密なんです。自分がノミネートされたということだけで、担当編集者も多分知らないんじゃないかと思います。
石本 『羊と鋼の森』の時もそんな感じだったのでしょうか?
宮下 「ノミネートされました!」って連絡をくれた担当編集者が「宮下さん、こんなにいい本書いたんですから当然ですよ!」って言ってくれて。これまで売れる本を書いてきていなかったので、編集者に恩返しできて嬉しいという気持ちでしたね。自分が「やったー!」という感じよりは。
石本 ノミネートが分かった後に全部読まれて、ご自分としては8位かなと思ったとおっしゃっていましたよね。ご自分では何が1位だと思われたんでしょうか?
宮下 自分の好みとは別として、上半期の直木賞を受賞された東山彰良さんの『流』が1位かなと思いました。すごく勢いのある作品が本屋大賞では受賞するんじゃないかと思いました。他には『朝が来る』かなと思いました。辻村深月さんが連続して3位を取られていたので、今年こそ辻村さんじゃないかという気持ちもありました。すごく有名な方たちばかりなので、まあ、自分では絶対ないだろうなあと。上位には食い込まないという自信があったので、ノミネートされた後は気楽な気持ちでいました。ノミネートされただけで十分嬉しかったんです。
石本 一次投票の段階での順位はお聞きになられていたんですか?
宮下 聞いていないです。後で見て、「おっ!」って思ったんです。
石本 ご存じでない方にご説明いたしますと、本屋大賞の一次投票の段階では『羊と鋼の森』は2位だったんですね。その時の1位の『君の膵臓をたべたい』という作品がダントツと言っていいくらいの点差があって、ダブルスコアくらい負けてる感じで。
宮下 負けてる感じ(笑)。
石本 本屋大賞は一次投票の段階ではみんなが全部の作品を読んでいるわけではないので、その時点でたくさんの人に読まれている本が票を集めやすい。『君の膵臓をたべたい』は作品自体ももちろん面白くて、最終的にも2位に入っているので悪いわけではないんですけれども、この時点で売れている数とか読まれている数というのが現れているんだと思います。一次投票から二次投票に行く段階では全員がすべての作品を読むわけですから、ここで逆転されたというのは作品としてやはり『羊と鋼の森』のほうがよかったんだなというふうに思って頂ければいいんではないかと思います。
宮下 いやいやいや。ありがとうございます。
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