「私から文藝春秋に“出頭”するとは思いもよりませんでした」
昨年4月、そう言いながら文藝春秋の社屋にやって来たのは、「総理の分身」の異名を持つ今井尚哉首相秘書官でした。森友学園問題をめぐって財務省の決裁文書改ざんが発覚し、国会が大揉めだった頃のことです。
経産省出身の今井氏は、改ざんを指示した佐川宣寿元国税庁長官と同期で、森友学園の窓口になっていた安部首相夫人付女性秘書が今井氏の部下であったことから、野党は今井氏の証人喚問を要求していました。そんな最中、月刊文藝春秋で「官邸官僚の研究」を連載していたノンフィクション作家の森功さんのインタビューに応じたのです。
今井氏はマスコミのインタビューに一切応じないことで有名で、雑誌のロングインタビューに応じるのは極めて異例のことでした。
本書は、この今井氏のほか、菅官房長官が絶大な信頼を寄せる国交省出身の和泉洋人首相補佐官、警察庁出身で内閣人事局長も務める杉田和博官房副長官と北朝鮮問題などを担当する北村滋内閣情報官ら「官邸官僚」の人物像、経歴、官邸での役割を徹底取材で明らかにしています。
出身官庁ではトップになれなかった彼らが、官邸入り後に首相や官房長官の威光を背景に霞が関を牛耳っていきます。その異様な実態と不透明な行政の闇に鋭くメスを入れたノンフィクションの傑作です。
本書目次
第一章 総理を振り付ける「首席秘書官」
第二章 影の総理の影「首相補佐官」
第三章 政権の守護神「警察官僚」
第四章 破壊された日本の頭脳「財務官僚」
第五章 「文科省」次官候補の裏口入学事件
第六章 封印された「地検特捜」
第七章 霞が関を蹂躙する「内閣人事局」
第八章 官邸外交で蚊帳の外の「外務省」
第九章 官邸に潜む落とし穴
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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