第7回高校生直木賞 参加生徒の声(3)

高校生直木賞

高校生直木賞

第7回高校生直木賞 参加生徒の声(3)

第7回 高校生直木賞全国大会

8月23日にオンラインにて開催された第7回高校生直木賞の本選考会。32校の代表者が全国から集まり、4時間を超える議論の結果、大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』を「今年の1作」に選びました。同世代の友と小説について語り合うことを経験した高校生たち感想文を3回にわけて掲載します。今回は名古屋大学教育学部附属高等学校、豊川高等学校、滋賀県立彦根東高等学校ほか6校をご紹介します。

京都府立清明高等学校(京都府)岡田遊快「大きく学んだ二つのこと」

 画面越しでも伝わる熱気、真剣な表情。選考会が始まる前から、皆さんが作り出す雰囲気に圧倒されました。それと同時に、適度な緊張と大きな期待が自分の胸に飛び込んできました。

 高校生直木賞に参加して、私が学んだことが大きく二つあります。

 一つ目に、自分の想いを伝える姿勢です。話しながら頭の中で内容を整理し、難しい感情をわかりやすい言葉で伝える。相手の話をやわらかく受け止めた上で、自分の意見を話す。皆さんの話に、思わず引き込まれました。私は、自分の考えを自分で理解するので精一杯で、伝える工夫ができませんでした。また同じような機会があれば、落ち着いて、丁寧に話したいと思います。

 二つ目に、似たような考え方でも、微妙に異なっている場合があるということです。他人と自分とが同じ考えだと思っていた。でもほんの少し違いがあるかもしれない。だから十分に話し合う必要があるのではないか。そう深く思わされました。

 もう一度、候補作を読み直したい。選考会が終わった後、その思いでいっぱいでした。そう思わせてくれる会に参加できたことを、大変嬉しく思います。ありがとうございました。

兵庫県立兵庫高等学校(兵庫県)加藤岬「一生ものの経験に」

 今回、新型コロナウィルス感染拡大の煽りを受け、会場に対面して行うことはかないませんでしたが、パネリストとして参加させていただいた経験は、一生ものになったと思います。もちろん、事前の校内での話し合いも同じ本を読んでいるのに感じたことや読み取った事が違い、『なるほどそういう解釈もあるのか』と新鮮なことが多く、友達と本の感想を言い合ったりすることの興味深さを学ぶことが出来ました。

 また、午前中に開催された森見登美彦先生のトークショーも、リモートで行われたからこそ、森見先生の本棚から気軽に本を取り出していただけて、ファンとしては嬉しい限りでした。貴重な制作中のお話も聞くことができ、先生の作品を読む時の楽しみも増えました。

 午後の討論では、少し白熱しすぎてしまったかな、という反省もありましたが、その分学校の友人達の意見をしっかり伝えることが出来たという経験は社会人になっても生かされてくるはずだと思います。

 これからも、本という素晴らしいものを通して、色々な知識をたくさん吸収していくと共に、周りにいる人にもその楽しさと素晴らしさを伝えてゆきたいと思います。

徳島県立脇町高等学校(徳島県)深田菜央香「本を通して人々とつながる」

 今回、私たちの学校は初めて「高校生直木賞」に参加させていただきました。多くのことを学ぶことができ、時間の流れがとても早く感じました。

 議論の中で、自分と同年代の人が様々な観点から本について深く考え、自分の言葉で意見を述べている姿に感化されました。言いたいことを言うだけの自己完結で終わってしまう話し方ではなく、相手の心に響く話し方をすることの重要性を感じました。今までの私は気持ちが先走り、上手く言葉に表せないことがよくありましたが、これからは臆さず積極的に自分の考えを言語化し、「伝える話し方」を習得していきたいと思います。

 また、本を通して様々な人とつながることができるのだと改めて気づけました。今までは、本を読むという行為で、一冊の本と一人の私という関係を結んできました。しかし、今回「読み」「考え」「共有し」「選ぶ」という行為をする中で、五冊の本を介して、よりたくさんの人とつながることができました。これからも本を介して多くの人と関わりを持っていきたいと思いました。

 高校生の時期にこのような素晴らしい機会を得られたことを本当に嬉しく思います。新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモート開催とはなりましたが、「高校生直木賞」を通して、人との関わり方や自分についてじっくり考えることができたことは、私にとって大きな糧となったと思います。本当にありがとうございました。開催に携わってくださった全ての皆様にこの場をもって感謝申し上げます。


■名古屋大学教育学部附属高等学校(愛知県)中島遼太「本を“推す”驚き」
■豊川高等学校(愛知県)箭野日向「もっと豊かな読書をしていきたい」
■滋賀県立彦根東高等学校(滋賀県)北川夏帆「一気に覆された読書観」
■京都府立清明高等学校(京都府)岡田遊快「大きく学んだ二つのこと」
■兵庫県立兵庫高等学校(兵庫県)加藤岬「一生ものの経験に」
■徳島県立脇町高等学校(徳島県)深田菜央香「本を通して人々とつながる」
■愛媛県立八幡浜高等学校(愛媛県)野本いずみ「高校生だからこそできること」
■福岡県立城南高等学校(福岡県)馬場竜也「自分が変われるチャンスを見つけた」
■筑紫女学園高等学校(福岡県)武藤花依「読書の世界を広げるきっかけに」

大島真寿美

定価:2,035円(税込)発売日:2019年03月11日