- 2024.10.17
- CREA
「鼻にイヤホンを突っ込んだりお尻をカキカキしたり、毎日楽しい(笑)」藤間爽子が“つづ井さん”になるまで
文=井口啓子
撮影=佐藤 亘
出典 : #CREA
ジャンル :
#コミック・コミックエッセイ
筋金入りの「オタク女子」つづ井さんと「前世からの友」である、Mちゃん、オカザキさん、橘、ゾフ田の女子5人の、楽しすぎる日常を描いた大人気エッセイコミックシリーズ「つづ井さん」が実写ドラマ化! ということで、「つづ井さん」を連載しているCREA Webでは、この祭りを大いに盛り上げるべく、「祝・つづ井さんドラマ化」スペシャルコンテンツを企画しました。
まずはドラマでつづ井さん役を演じる藤間爽子さんが登場。撮影を経て身も心もすっかり「つづ井さん化」してきたと噂の藤間さんに、「つづ井さん」への尽きせぬ愛をたっぷりと語っていただきました!
自分たちが好きなことに全力になれる尊さがつづ井さんの魅力
――つづ井さん役が決まったときの思いを聞かせてください。
まず私事になりますが、ドラマ初主演であり、今年で30歳という節目の年でもあったので、こういう大役を背負わせていただけることがプレッシャー以上にうれしくてワクワクしました。
――原作コミックの方はご存じでしたか?
知ってはいたんですが、ちゃんと読んだのはドラマの話をいただいてからなんです。「女性5人が推しを通じて友情を育む物語」と聞いてはいたんですが、実際に読んだら想像を遥かに超えてきた。こんなことが本当に繰り広げられているんだ!とびっくりして、つづ井さんを演じるのが楽しみで仕方がありませんでした。
――ずばり、藤間さんが思う「つづ井さん」の魅力とは?
やっぱり「自分たちが好きなことに全力になれる尊さ」でしょうか。鼻の穴にイヤホンを突っ込んでBLドラマを再生するとか、誕生日会でジャイアンの仮装をするとか、愛と創意工夫にあふれてて。こんなに夢中になれるものは私にはないので、周りの目を気にせず、本当に自分が好きなものを全力で楽しんでいる、つづ井さんの強さやブレなさはカッコイイなって、憧れますね。
――つづ井さんも「前世からの友」のMちゃん、オカザキさん、橘、ゾフ田も、みんな推しもキャラクターもバラバラですが、それぞれ自分を貫いていてカッコイイ。
大人になると普通、ちょっと冷静になって照れたり、冗談っぽくしちゃうけど、つづ井さんたちは完全にその世界に入り込んで、本気で楽しんでる。私自身、このお仕事をさせていただいていて、自分じゃない何かになれる女優の仕事って、人生をいっぱい楽しんでる気分になれるのが醍醐味だなと感じているので、すごく通じるものを感じました。皆さん、女優だなーって感動しますね。
つづ井さんってどういう人なんだろう?
――藤間さんは今回、つづ井さんを演じるにあたり、どのようなアプローチをしましたか?
やっぱりドラマといえど原作がある、しかもマンガという絵のあるものなので、脚本を読みながらも自ずとマンガの絵が思い浮かんでくるんです。だから、まずは原作コミックを副読本にイメトレしました。
ただ、つづ井さんって自分のことをマンガに描いてはいるんですが、決して自分中心主義ではない。むしろ、みんなのことをしっかり見て、丁寧に描いている。だから、みんなのキャラはすごく濃いんですが(笑)、実は自分のことはそれほど細かくは描いていなくて。最初の頃は、つづ井さんってどういう人なんだろう?と、自分の中でつづ井さん像をつくり出すのに苦戦しました。
――確かに、つづ井さんは推しについては語るけど、自分語りはしない。
つづ井さんは推しへの愛もみんなで共有して盛り上がりたい人だし、なによりみんなのことが大好きで、みんなといる時間を誰よりも噛み締めている人だよな……というところに行き着いて。変にキャラクターを作るようなことはせず、まず、私自身が現場でみんなと過ごす時間を楽しもう。そう思って撮影を重ねていくうちに、ピュアで優しい素のつづ井さん像ができていった気がします。
――実際、女5人が集ってわちゃわちゃ遊びまくる、愉快なシスターフッドも「つづ井さん」の大きな魅力です。
つづ井さんを核に友達の友達が友達になって、それぞれ多忙な日々を過ごしながらも、誕生日会とか、みんなで会う日のために事前に計画を練って準備して、当日はお祭りみたいに全力で盛り上がる。大人になるとどうしても、そういう関係性って続けるのが難しいので、本当に幸せな5人だなと羨ましくなりますよね。
役との境界線がバグってきてる
――ドラマの「前世からの友」の5人は、どんな感じですか?
みんな同世代ということもあって、会ってすぐに自然に同級生みたいな雰囲気が生まれたんです。本当に気を遣わず、喋りたい時に喋って、それぞれが全然違うことを喋ってたりする。ドラマの撮影をしているというよりは遊びに来てるような雰囲気。しかも、つづ井さんたちの遊びって、ツイスターとか相撲とか体を使う遊びが多いんですよ。アクション作品でもないのに、こんなに動き回るとは思いもしなくて、みんな筋肉痛ですよ。撮り終わった後も仕事をしたというよりは、遊び疲れたーって感じがあります(笑)。
――まさに「つづ井さん」的な、素晴らしい現場ですね。
やっぱり、つづ井さんがなんでも楽しもうという心意気の方なので、こっちも楽しんじゃえ!って。撮影では、みんな自分からどんどんアイデアを出し合ってきてますね。相撲のシーンとか「今の角度、大丈夫だった?」「もうちょっとこうした方がおもしろいかも」って、真剣にカメラをチェックしたり(笑)。最近はみんなキャラクターを自分のものにしてきて、「◯◯だったら、もっとこう言うはずだ」って、かなり入り込んでますね。
最近は役とその人の境界線がどんどんなくなってきて、キャスト5人で「前世からの友」という名前のグループLINEを作ってるんですが、LINEをやり取りしていても、どっちの設定で喋ってるのかわからないぐらい。先日もオカザキさん役の谷まりあちゃんから急に変な写真が送られてきて、怖い怖い、これどっち設定!?って、みんなバグってきてます(笑)。
顔芸大会的なことになってるかも(笑)
――5人のやりとりがどんな風に実写化されているのか、期待が募ります!
女5人のわちゃわちゃトークのテンポ感は、最初の本読みで5人で徹底的に探り合いました。あと、オタクが興奮してブワーっと喋るときのテンションやスピード感、独特の専門用語や言語センスなんかも、かなりこだわってやってるので、ぜひ耳で楽しんでもらいたいですね。
――他に、実写ドラマ版ならではの見どころはありますか?
表情もかなりこだわったポイントです。マンガだと表情も静止画の連続になるし、つづ井さんのマンガは絵自体がシンプルで表情もスンとしていて、だからこそのおもしろさがある。でも、映像では生身の人間ならではの微妙な表情とか、その表情に行くまでの動きが見せられるので、かなり顔芸大会的なことになってるかもしれません(笑)。
セットや小道具もものすごい解像度
――先ほど、マンガでおなじみの「HAPPY Tシャツ」を着た藤間さんを見て、本当につづ井さんが実写になってる……とジーンとしました(笑)。
あのTシャツは現場のスタッフさんも着てるんですよ。今回、衣装だけでなく、セットや小道具も美術さんが原作を読み込んで下さって、ものすごい解像度で再現している。特にゾフ田の誕生日会は、プレゼントのトートバッグもTシャツもマグカップも、再現度が高すぎてヤバイ(笑)。他にも、つづ井さんファンならおおっと反応するようなアイテムがあちこちにちりばめられているので、隅々までチェックしながら見ていただきたいですね。
――ドラマのすべてにつづ井さん愛があふれていますね。
キャスト・スタッフみんなで一緒になってめちゃくちゃ楽しんでます。ドラマオリジナルとしては、メンバーカラーが決まっていて。つづ井さんが赤、Mちゃんが緑、オカザキさんがピンク、橘がオレンジ、ゾフ田が青。衣装はもちろん、登場するケーキの色もメンバーカラーになってます。あとネタバレになるので詳しくは言えませんが、かなりシュールな演出の回もあって、つづ井さんファンの方なら、きっとおもしろがっていただけると思います。
鼻にイヤホンを突っ込んだり、お尻をカキカキしたり
――楽しみすぎて妄想が止まりません……。
つづ井さんファンの期待もすごく感じているので、その期待に沿えるのかという不安もないわけではないですが、正直、やってて楽しいの方が大きい。鼻にイヤホンを突っ込んだり、お尻をカキカキしたり、こんなおもしろい役自体やったことがなかったし、こんな自分がいるんだ!って、つづ井さんのおかげで毎日楽しいです(笑)。
――人が本気で楽しんでる姿って尊いし、見ているだけで楽しくなりますよね。
そうそう、私もマンガを読んで、推しの対象自体はよく知らなくても、好きなものについて熱量高く喋ってるつづ井さんたちを見ているだけで楽しい気持ちになりました。
「つづ井さん」が素晴らしいのは、好きなものをひとりで楽しむだけでなく、みんなと共有して、じゃあこれをしようとか、いろんな企画を考えて実行しちゃうところ。そういう小さなことが生きる原動力になるんだって、私自身、つづ井さんに気づかされましたし、ドラマを見てくださる方にもそれを感じてもらえるように全力で遊んでます。
いちおう推し活の話ではあるんですが、予備知識なしで楽しめる、本当にハッピーなドラマになっているので、ぜひ若い子からお年寄りまで見ていただきたいです!
藤間爽子(ふじま・さわこ)
1994年、東京都生まれ。2017年、連続テレビ小説「ひよっこ」でデビュー。主な出演作にTBS系日曜劇場枠「マイファミリー」、連続テレビ小説「ちむどんどん」、フジテレビ系木曜劇場「silent」など。俳優としての活動のほか、日本舞踊家としても活躍しており、紫派藤間流三代目家元・藤間紫の名も持つ。
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