書名(カナ) | ムテキノドッカイリョク |
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ページ数 | 256ページ |
判型・造本・装丁 | 新書判 並製 |
初版奥付日 | 2021年12月20日 |
ISBN | 978-4-16-661341-0 |
Cコード | 0295 |
最強のコンビには何を語ってもらっても面白い。今回は、各章で3~4冊の書籍を参考資料にして、現代社会を縦横無尽に斬りまくる。
まず、第1章のテーマは「人新世から見た仕事術」である。ここでの参考図書は、斎藤幸平『人新世の資本論』、グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」、それから白井聡『主権者のいない国』の3冊。斎藤氏が切り拓いた、新しい『資本論』からの視点と、「クソどうでもいい仕事」から、リモートワークの現在や、仕事そのものと資本主義について考える。
第2章は、「米中対立 新冷戦か帝国主義戦争か」というホットなテーマを取り上げる。参考書は、ミアシャイマーの記事、レーニン『帝国主義論』、ホブソン『帝国主義論』、マルクス『経済学・哲学草稿』。いま世界が抱えているのはやはり米中対立の問題である。それを読解するには、レーニンの「帝国主義」が最適である。なぜなら、中国がやっていることは帝国主義路線そのものだからだ。この対立を歴史的にどのように捉え、どう対処していくべきかを探る。
第3章では、「なぜオリンピックはやめられなかったのか」を分析する。部分合理性が全体の不条理を招くという意味で、東京五輪は、ガダルカナル戦やインパール戦に共通する。
参考書は、菊澤研宗『組織の不条理』、後藤逸郎『オリンピック・マネー』、ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』、『日本陸軍 作戦要務令』。日本人に特有の病理が浮かび上がってくる。
第4章のテーマは「愛読書から見るリーダー論」。日本の歴代首相、党代表は一体、どんな本を読んできたのだろうか。その結果は、目を覆いたくなるような惨状で、まともに本を読んでいるのは歴代の共産党代表と、中曽根康弘、細川護熙ぐらい。小泉純一郎、枝野幸男、田中真紀子、土井たか子・・・その浅さ、教養のなさに唖然とする。菅前総理が挙げたマキアヴェリ『君主論』にいたっては、二人の舌鋒は火を噴く。日本という国はつくづくと凄い国なのである。
ちなみに参考書は、マキアヴェリ『君主論』と早野透『政治家の本棚』。
第5章では「日本人論の名著を再読する」を論じる。参考書はルース・ベネディクト『菊と刀』、オフチンニコフ『桜の枝』、ライシャワー『ザ・ジャパニーズ』。日本人は外側から見られた日本人論が大好きだ。この三冊が名著と呼ばれるにはそれだけの理由がある。『菊と刀』は戦後日本のグランド・デザインをつくるベースとなった点が重要だ。さらに、外部の視点から書かれた日本人論は、私たちが気づかない点を突き付けてくれる。制度や経済状況などによって変わった点はもちろんあるが、いま、わざわざ読み返してみる価値を詳述する。
【第一章】人新世から見た仕事論
■SDGsは現代版「大衆のアヘン」
■グレタ・トゥーンベリと三・五%の人間の抗議活動
■「脱成長」による「豊かさ」とは
■ローマクラブと『清貧の思想』
■階級闘争史観による怒り
■疎外論と窮乏化論
■ディープステートは存在する!?
■『資本論』は資本家が読むもの
■メリトクラシーが行きつくところ
■ブルシット・ジョブの世界観はついて回る
【第二章】米中対立 新冷戦か帝国主義戦争か
■ミアシャイマーの最悪情勢分析
■帝国と帝国主義の違い
■中国はレーニンの帝国主義そのもの
■マルクスは中国にとって危険思想
■レーニンとスターリン
■習近平の慢心
■誰が国家の主人なのか
■アメリカ型の普遍的価値の限界
■習近平が取りつかれた夢
■オバマはしたたか、バイデンは稚拙
■アメリカ人と中国人はどちらが均質か
■インテリジェンスのゆがみと暴走
■中国とは挨拶はするけど、握手はしない
■米中関係から日中関係へ
■共通の敵、柔軟な日中関係
【第三章】オリンピックはなぜやめられなかったのか
■一九六四年の東京五輪との違い
■オリンピックというものに抱く幻想
■オリンピックに熱狂するのは一部の国だけ
■幻のモスクワオリンピック
■オリンピックとテロ
■IOCの恐るべき闇
■限定合理性で突き進んだ日本軍
■東京五輪はそもそもやるべきだったのか
■皇軍の伝統は生きている
■複数の部分合理性を知ることの重要性
■共同主観性という根っこ
【第四章】愛読書から見るリーダー論
■小泉純一郎の恐るべき浅さ
■田中眞紀子の演劇性
■枝野幸男の恐るべき空虚
■左派陣営の人たち
■中曽根康弘と細川護熙は教養陣営?
■菅直人と「最小不幸社会」
■菅義偉の愛読書『君主論』のインパクト
■マキアヴェリズムを駆使する政治家
■『君主論』は権力者たちの無意識を言語化したもの
■レーニン型とヒトラー型
■政治家と官僚の低学歴
■マルローとルカーチ
【第五章】日本人論の名著を再読する
■『菊と刀』とその原型
■戦後日本のグランド・デザイン
■『菊と刀』のおかしな部分と優れた部分
■『菊と刀』の画期的な意味
■『桜の枝』はソ連人がはじめて描いた日本人の諸相
■『桜の枝』が二種類ある理由
■『菊と刀』をパクったことの意味
■日本文化への肯定的な評価
■大きな役割を果たした大使、ライシャワー
■日本の神秘性を剥ぐ
■外国人が書いた日本人論の見どころ
■対米従属論のどこがいけないのか
■今、日本人論を扱う意味
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