東野圭吾の小説を読みたいけれど、どれを選べばいいのかわからない。そんなときは、物語の始まりをのぞいてみませんか。
『秘密』では、事故で亡くなった妻の意識が、娘の体に宿ります。『手紙』では、兄が犯した殺人によって、弟の進学や恋愛、就職までが左右されます。
『片想い』は、十年ぶりに再会した旧友の殺人告白から。『レイクサイド』は、受験合宿で起きた殺人を、その場の親たちが隠そうとするところから、謎が広がっていきます。
四冊とも、シリーズの予備知識は必要ありません。一冊で物語を読み終えられる長編です。初めての一冊にも、次の一冊にも。続きを知りたくなった作品を選んでください。
娘の体に、妻の意識が宿ったら――『秘密』
妻と娘が乗ったバスが事故に遭い、平介は妻の直子を失う。ところが、意識を取り戻した娘・藻奈美に宿っていたのは、直子の意識だった。
姿は娘なのに、話している相手は妻。二人だけの秘密を抱えた生活が始まる。
妻が戻ってきたことを喜びたい。けれど、目の前にいるのは、これから成長していく娘でもある。夫としての思いと、父親としての思いを、平介はどう折り合わせればいいのか。
不思議な出来事を出発点に、夫婦の暮らしと娘の将来が切実な問題になっていく。愛する相手とこれからどう生きるか、その選択をたどる物語です。
兄が人を殺した。ではその弟は幸せになってはいけないのか――『手紙』
強盗殺人を犯した兄・剛志から、弟の直貴へ、月に一度の手紙が届く。
直貴自身は罪を犯していない。それでも、進学や恋愛、就職のたびに、兄の犯罪が彼の人生に影を落とす。本人の努力だけでは変えられないことが、次々と立ちはだかる。
獄中から届く手紙は、兄弟をつなぐものだ。しかし直貴には、兄とは別の人生がある。自分の暮らしを築こうとする弟にとって、そのつながりは何を意味するのか。
犯人が捕まったあとも、家族の生活は続いていく。罪を犯した兄と、その罪を背負わされる弟。兄から届く手紙を通して、犯罪が人の人生に及ぼす影響を描きます。
旧友が殺人を告白。あなたならどうする?――『片想い』
大学のアメリカンフットボール部で、ともに青春を過ごした仲間たち。同窓会の夜、西脇哲朗は、かつてのマネージャー・日浦美月と十年ぶりに再会する。美月が打ち明けたのは、人を殺したという告白だった。
哲朗は妻の理沙子や旧友たちと、美月に何があったのかを探り始める。だが、調べるうちに、食い違う証言や別の名前で生きる人々の存在が浮かび上がる。
よく知っているはずの友人にも、一緒に過ごしていない十年がある。美月は本当に人を殺したのか。なぜ哲朗の前に現れたのか。
殺人事件の謎が、学生時代から続く友情や夫婦の関係と絡み合う。過去を共有する仲間たちの、互いに知らなかった人生を追う長編ミステリーです。
殺人が起きたのに、なぜ誰も警察を呼ばない?――『レイクサイド』
私立中学受験の勉強合宿で、湖畔の別荘に集まった四組の親子。そこに並木俊介の愛人が現れ、その夜、死体となって発見される。
妻の美菜子は、自分が殺したと告白する。俊介が警察に届けようとすると、ほかの親たちはそれを止め、事件を隠そうとする。
なぜ、ほかの親たちまで事件を隠そうとするのか。子供の受験を守りたいというだけで、そこまでするものなのか。
俊介が疑問を抱くほどに、親たちの関係にも、妻の告白にも、説明のつかないところが見えてくる。事件の真相と、親たちが隠す理由を追う心理ミステリー。文庫288ページで、今回の四冊では最も短い一冊です。
最初の一冊は、気になる問いから
妻なのか、娘なのか。平介の選択をたどりたいなら『秘密』
犯罪者の家族になった人の、その後の人生を読みたいなら『手紙』
旧友の殺人告白と、仲間たちの秘密を追いたいなら『片想い』
警察を呼ばない親たちの謎が気になるなら『レイクサイド』
読む順番はありません。まずは、続きを知りたくなった一冊を選んでください。










