知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、書店員になりたい女子中学生の質問にお答えすると同時に、書店員になった理由を答えてもらいました。
私はいま中学生ですが、漫画や小説が大好きで、本屋さんに行くことが好きです。高校生か大学生になったら本屋さんでアルバイトしたいなと思っています。本屋さんで働くために必要なことって何かありますか? 力仕事が多いという話を聞いて、体力に自信がないのでちょっと心配です。(東京都 10代 女性)
野坂美帆(紀伊國屋書店富山店)
本が好き、書店に行くことが好き、というお話を伺い、大変嬉しい気持ちでおります。ありがとうございます。書店で働くために必要なこと、と問われれば、肉体労働ですので体力かと思います。段ボールは小分けにして運べばよいのですし、本も一気に何十冊も運ぶ必要はないですので(逆に危ないですよね。周りのお客様にも危険です)、筋力はほどほどで。もし本が好きでなくても、人が好きであってほしいと思います。書店は本を売るところですので、本が好きな人が向いていると思われるかもしれませんが、書店は本とお客様を繋ぐ場所です。本の向こうにいる人を見て動く仕事です。また、ほとんどの書店員は接客業務に携わります。ですので、人が好き、人と関わることが好きという気持ちが必要なのではないかと思います。あと、立ち続けの仕事ですので、働き始めは貧血を起こす方も多いです。ぜひ健康な体でいらしてください。同じ業界で働く日をお待ちしています!
富田結衣子(文教堂書店代々木上原駅店)
私も決して体力がある方ではないのですが(今でも連勤が続くと、時々辛いです……)、高校時代から書店でアルバイトをしていましたので、心配いりません。大丈夫です。バイトを始めた理由も一緒で、本が好きだったのと、書店という空間が好きだったからです。その気持ちがあれば基本的には他に必要なものはない気がします。強いて言うなら、接客業なのでお客様に対してしっかり笑顔で応対できることですかね。書店以外の場所でも、普段自分が買い物をしていてこの店員さん感じ悪いな……と思うことがあるかと思います。そういう対応をしないように気を付けられれば、きっと大丈夫です。力仕事が多い、というのは確かにその通りなのですが、腰痛にだけ気を付けていれば、慣れてくるとなんとかなります。当店にも女の子の学生アルバイトさん何人かいますが、力仕事もバリバリこなしていますよー!!
高橋佐和子(山下書店南行徳店)
すっごく嬉しいです!! その言葉を聞けたことが、私にとっては本当に本当に幸せです。まずは、一言「ありがとう」と伝えさせてください。本屋さんで働くために必要なことは、書いてくれたことだけで充分だと思います。「漫画や小説が大好き」「本屋さんに行くことが好き」「本屋さんでアルバイトがしたい」この言葉が、どれ程大切な想いか、気付かれてないのだろうなと愛おしく感じます。(←ホントにすごいことなんですよ)。不安に感じている「力仕事」に関しては、大きな本屋さんだと、仕入れには男性もいますし雑誌や辞書など重いときは少しずつ持てば大丈夫。荷物を運ぶための台車もあります。今、自分の家にある本を500mlのペットボトル24本入る段ボール一杯に詰めて持ってみてください。もし、持つのが大変な場合は半分に減らしてみても良いです。どうですか? 持てましたか? 私の経験上、大好きな本が詰まった箱一つ持てれば安心して良いかと思います。一箱は無理でも、文庫10冊からはじめて少しずつ持てるようになります。恥ずかしいけれど、質問された方だけに教えちゃう。私も最初、絵本10冊持ったら表紙があまりに手触り良すぎて「あっ」と思ったときには、あちこちばら撒いてしまったの。本が曲がってしまったりして、悲しくてね。先輩に謝ったりしたこともあります。一人で家で持つ練習とかコツとか探したりしたの。まず、大切なのは「そこで働きたい」と思えること。それから「好き」と思える気持ちだと思います。人とお話しするのが好きという気持ちがあれば最高! 私は、一緒に働いてみたいなと思いました☆ 本当にありがとう。本や本屋を好きだと思ってくれて、ありがとう。それから、質問してくれてありがとう。待っています。
先輩女性書店員の皆さんたちの喜びぶりが伝わってくるような回答でしたね。
ところで、現役の書店員さんは最初から本が好きだった人ばかりなのでしょうか? 逆に言うと、本が好きじゃないと書店員にはなれないのでしょうか? そこで、こんな質問に答えてもらいました。
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