書評

中村俊輔「サッカーノート」七つの法則と東大ノート

文: 太田 あや

『夢をかなえるサッカーノート』 (中村俊輔 著)

ポイント5 (お) オリジナルの「サッカーノート」を開発

 『夢をかなえるサッカーノート』には、15年間の経験を活かし開発した、中村選手考案のオリジナル「サッカーノート」がついている。A5サイズ、中綴じの青いノート。左ページは試合について。試合前にはフォーメーションや課題を、試合後には良かった点、悪かった点などを書き込めるようフォーマットされている。右ページは、横の罫線のみが引かれているフリースペース。イメージ画でも言葉でも自分なりにカスタマイズできるようにという思いが込められている。さらに、このページの右上には、「体を動かすのは心だ」や「負け犬は一日でいい」など中村選手がノートに書き留めてきた言葉が書かれており、ページをめくる楽しさがある。

ポイント5 (と) とり続けたのは努力の証だから

 中村選手は言う。「ノートは結果に直結してはいないと思う。ノートを書いていたから何かを成し遂げられたわけではない」。それならなぜ、15年間にもわたりノートをとり続けてこられたのか。彼にとって大切なことは、MVPを獲ることではなく、100%サッカーにのめり込んだか、ということ。彼の「サッカーノート」は、その証になっているからなのではないか。落ち込んでいる自分の気持ちを強くコントロールし、イメージを描くことで納得のいくプレーができ、課題を洗い出し克服することで目標を達成してきた。

 このノートに残る日々の努力の足跡が、妥協しない自分の証明書になっているからこそ、ノートをとり続けてきたのだと思う。

「サッカーノート」と「東大ノート」

  東大合格生たちはノート上において、試験で良い点数を取るために必要な知識を体系的に整理し、東大に合格するために本番さながらに問題を解きまくっていた。

 中村選手もノートの上において、試合ではどんなプレーをしたいのか、どんな選手になりたいのか、そのためにはどんなトレーニングをすべきなのかを表現している。

 どちらも「なりたい自分」に近づくための手段としてノートを使っている。ジャンルは関係ない。ノートは、少し先の憧れの自分に近づくためのイメージをし、シミュレーションをする場になり得るのだ。何かを極めようとするとき、ノートを書くことはとても有効な手段になるのだと改めて感じた。

「サッカーノートを見せるならヌードを披露するほうがまだマシ」という中村選手がノートを公開した理由は、自分の経験が悩んでいる人や困っている人の役に立つなら、という思いだった。現状から一歩踏み出せずにいる人、乗り越えるべき壁の前で途方に暮れている人に読んでもらいたい。サッカーのみならず、普遍的に「使える」ノート術なのだから。

夢をかなえるサッカーノート
中村 俊輔・著

定価:1500円(税込) 発売日:2009年09月05日

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