本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
外国人の視点から見た日本

外国人の視点から見た日本

文:ファブリツィオ・グラッセッリ (建築家)

『イタリア人と日本人、どっちがバカ?』 (ファブリツィオ・グラッセッリ 著)


ジャンル : #ノンフィクション

水沢(以下M) 今回、本の紹介をするにあたって、「執筆協力」をした私、水沢透から、著者のグラッセッリ氏にインタビューする、という形にしたいと思います。

グラッセッリ(以下G) はい。でもあんまり硬くならないようにしましょう。僕らは友人なんだから。いつも通り、エスプレッソでも飲みながら世間話するみたいにね。

M まずは『イタリア人と日本人、どっちがバカ?』というタイトルについて、触れておきましょうか。

G これはほとんど冗談みたいなタイトルですけど、日本人の知り合いに『イタリア人が怠け者だから、いや、もしかしたらバカだから、債務危機に陥るようなことになったんじゃないの?』と言われたのがきっかけです。

M 僕がたくさんのイタリア人を見てきた経験からすると、少なくとも多くのイタリア人は、世界的レベルで見ると怠け者じゃない。バカかどうかはわからないですけど(笑)。

G イタリアが債務危機に陥った理由の大きな部分は、戦後に出てきた多くの社会問題を、現在まで放置してきたからであって、それをバカといえば、バカなのかもしれませんね。でも、今は日本にも深刻な問題が実はたくさんあって、放置されている。そうしてみると、どっちもバカですよね。

M 簡単に言うと、イタリアの債務危機は、どうして起きたんですか?

G たとえばレストランで「食べ放題です。好きなだけ食べて下さい」と言われて、何も考えずたらふく食べていたら、ついにウェイターが現れて「お客さんお勘定です」と言われてしまったようなものですよ。

M 「無料です」とは誰も言っていなかった……。

G そう。それで呆然としているのが、今のイタリアや、その他欧州で債務危機に陥っている国々の姿です。

M しかしどの国家にも「債務」というのは、つきものですよね。

G はい。ただイタリアの場合は、国内的に、いろいろな無駄遣いの構造があって、それが露呈したということです。その内容は、本を読んでもらえばわかります。ただ、巨大金融グループとか、ヘッジファンドなどが、財政基盤の弱い国の国債をターゲットにして儲けているために、事態をより深刻化させている部分もあります。

【次ページ】「逆向きのマルコ・ポーロ」になる旅

イタリア人と日本人、どっちがバカ?

ファブリツィオ・グラッセッリ・著

定価:809円(税込) 発売日:2012年09月20日

詳しい内容はこちら

プレゼント
  • 『リーダーの言葉力』文藝春秋・編

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/12/17~2024/12/24
    賞品 『リーダーの言葉力』文藝春秋・編 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る