──安易な消費税を上げる議論はどう思われますか。
若林 本末転倒です。まず天下りをなくし、無駄遣いを撲滅(ぼくめつ)すると公約したのに、それをせずに消費税を上げるのでは裏切りです。そもそも、あんな大がかりな事業仕分けをしなくても、民主党は忠実にマニフェストを守るだけで、子ども手当の財源は出たんです。子ども手当の是非はおいて、とにかく鳩山首相は二百五兆円の予算の総組替えで十七兆円削れるといっていました。どうやるかというと簡単で、国家公務員の人件費が高すぎるので、それを二割削るだけでも一兆円が出ます。それからいちばん簡単なのが、いま公務員に違法な二重年金が支給されていますが、これをカットすればよい。小泉首相が違法である、見直しなさいと命じたのですが、公務員が反対して、そのままになっていたんです。それを実行するだけで二兆円削れます。地方の出先機関については自民党政権下の地方分権改革推進委員会で、そこで働く十万人ははっきりいって無駄である、仕事をしてないという勧告が出ました。「週刊文春」の取材で、四国の高松に見に行ったところ、出先機関の庁舎自体ががらがらでした。仕事がないのに建物だけが立派なのです。からかいがてら職員に話を聞くと、「ここ五年仕事がない」と真顔でいうんです。これをカットすれば十兆円が出ます。
はっきりいうと、公務員の中には働きに較べて給料が高すぎる人々がいる、国には沢山無駄があり、天下りが日本を滅ぼすとみんなわかっています。これを断ち切ることを我々は民主党に望んだ。それをやらない自民党に私たちは怒ったんですね。それで、政権交替が起きた。それなのに、民主党は政権についた途端、約束を破った。
──日本の財政は破綻するという議論はどう思われますか。
若林 それは本当です。日本の借金がGDPの二倍にまで及び、IMF(国際通貨基金)が日本に対して警告を出しました。日本人の個人金融資産が千四百兆円あるから、いざとなればそれで相殺すればいいという楽観論がありますけれど、とんでもない、それは私たちの預けた貯金と年金が、勝手に国に引き出されるということなんです。私たちが二十年後、年金をもらおうとしたら「あ、ごめんなさい。ありませんでした。国債償還に使っちゃいました」。あるいは十年後預金を引き出そうとしたら、「あ、ごめんなさい。銀行は預かったお金で国債買ったんですが、国債が暴落しちゃったから、預金は払い出せません」というようなことが起きます。そうすると私たちの将来設計は滅茶苦茶になります。
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