読書は曲作りのトレーニングにぴったり
つい最近、コーヒーの魅力に目覚めたんです。いろいろな喫茶店に通って、ゆっくりとコーヒーを味わいながら本を読んでいます。
現実感にあふれた自宅では、食器を洗わなきゃとか、掃除しなきゃとか、テレビ見ようとか、ネットしようとか、余計なことを考えて気が散ってしまうけれど、喫茶店みたいに半ばパブリックな空間なら、一瞬でスッと本の中の世界に入り込むことができます。そんな時には、持ち歩きやすいハンディな文庫本が役立ちますね。
曲作りと読書には、深い関係があります。
曲が生まれる時は、まず、頭の中に映像が見えるんです。その映像の背景で鳴っている音をつかまえて、そこに歌詞を加えていく。
本を読むという行為は、ちょうどその逆のプロセスをたどります。つまり、文字からイメージを吸い上げて、脳内で映像へと変換する。だから、読書は曲作りのトレーニングにぴったり。
実際に、本を読んだ後、そこからインスピレーションを受けて曲を書いた経験も多いです。
特に、向田邦子さんの小説やエッセイには、とても大きな影響を受けました。向田さんが脚本を手がけた1974年のTVドラマ「寺内貫太郎一家」をDVDで観たことをきっかけに、彼女の本を読み漁るようになったんです。
向田作品を読むと、ごく小さな世界のディテールの描写の積み重ねが、宇宙的な哲学へと到達するような感覚を覚えます。言ってみれば、ZIPファイルみたいな形で圧縮されていた言葉が、読者の心の中に入った途端、解凍されてサイズを拡張するようなもの。自分の音楽や文章もそうありたいです。
音楽家、俳優、そして文筆業など、星野源の仕事を一冊にまとめた『働く男』という本もこのたび文庫化され、「文春文庫 秋の100冊」に選ばれました。
文庫版には、『火花』の作者として注目を浴びるピース・又吉直樹さんとの対談も新たに収録しています。より充実した内容になったので、ぜひ読んでいただきたいです。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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