- 2014.07.16
- 書評
日中の最も厳しかった7年間に
文:毛 丹青 (神戸国際大学教授)
『恵恵 日中の海を越えた愛』 (恵恵 著 岡崎健太 著 付楠 著/泉京鹿 訳)
ジャンル :
#ノンフィクション
『我在天国祝福你』に感動した中国人
しかし、あるとき、気がついたのです。
恵恵と健太の物語を日中両国の人々に紹介することで、その一助となることはできないかと。
残された母親の付楠(フナン)は、娘の思い出を手記にまとめて『我在天国祝福你』として2013年5月に中国で出版しました。
それに刺激をうけた健太君もまた、自分で手記をしたためました。
この『恵恵 日中の海を越えた愛』は、その2人の手記を編集し、ひとつにまとめ、残されたいくつかの恵恵の文章とともに、1冊の本に編んだものです。
2人が出会って、激しく生きた7年間は、2004年の反日暴動に始まり、2005年の北京・上海での反日デモ、小泉首相の相次ぐ靖国参拝や尖閣諸島をめぐる衝突など、日中間の対立のもっとも厳しかった7年間でもありました。
そうしたなか、2人はそして2つの家族は、習慣や文化の違いを越え、時に激しく議論しながらも、互いをいたわりあい、互いの幸せのために生きました。
本文の母親の手記にもありますが、苦難をのりこえ、よりよく生きようとした2人の姿は中国の人々に大きな感動をあたえました。
この日本語版が少しでも日本の人々に、互いの理解を考えるきっかけになってくれることが、日本を愛し、健太を愛した恵恵の遺志でもあると考えています。
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