──養生所の医師や、岡っ引きの弥平次なども個性的ですが、彼らは藤井さんのいろいろなシリーズに登場します。
「最初に書いたのは、南町奉行所の秋山久蔵。その久蔵から十手を貰っているのが、柳橋の弥平次(文春文庫二月刊『花一匁』から登場)。北町奉行所の同心ということで、知らぬが半兵衛(白縫半兵衛)。半兵衛に憧れるのが、神代新吾です。
それぞれ、出版社は違うのですが、それらをこえて同じ世界観で物語が展開しています。神代新吾も、他のシリーズに登場していますし、逆に他のシリーズの主人公が、今回の作品にも登場する。一つ読んだら、次にと読んでいただけると嬉しいですね。合計で三十冊を越えていますが、ここまで広がる作品は、なかなかないのではないでしょうか」
──藤井さんは『特捜最前線』『水戸黄門』『八丁堀の七人』などテレビドラマの脚本、監督作品が豊富ですが、小説の場合はどう切り替えていらっしゃるのでしょう?
「全く別ものですね。シナリオは映像になって初めて完成する。制作に関わる人間も多いので、こちらの想いがそのまま映像にならないこともあるんです。
小説は全部自分の責任ですから。ただ、映像が目に浮かぶものを書くことは考えています。感情を書かないで、動きでつないでいくとか、シナリオのカットバックの手法を使うこともあります。東映に入社してから、書き続ける人生ですね(笑)」
──新吾はどう成長していくのでしょう。
「本当に三廻りになりたいのか? その時が来たら今のままがいいと思うかもしれない。“発展途上人”ですから、これからどう動いていくのか、書いている私も楽しみです」
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