インタビューほか

書き下ろし文庫 神代新吾事件覚シリーズ スタート

「本の話」編集部

『指切り――養生所見廻り同心 神代新吾事件覚』 (藤井邦夫 著)

 一月(『指切り』)から三ヶ月連続刊行(二月刊『花一匁』、三月刊『心残り』)となる、「養生所見廻り同心 神代新吾事件覚」シリーズ。熱い心を持つ若い同心が、事件に出会い、悩み、傷つき、周囲の助けを借りながら成長していく姿を描く、書き下ろし文庫だ。
 養生所とは小石川養生所のこと。享保七年に町医者小川笙船の建議を徳川吉宗が採用して作った、低所得の病人などを収容する施療院である。本道(内科)、外科、眼科があり、町奉行所からは、養生所見廻り与力と同心がつめて管理していた。
 著者の藤井邦夫さんが語る、シリーズの見所と魅力とは?

1946年北海道旭川生まれ。TVドラマ『特捜最前線』で脚本家デビュー。著書に『知らぬが半兵衛手控帖』(双葉文庫)、『秋山久蔵御用控』(ベスト時代文庫)、『柳橋の弥平次捕物噺』(二見時代小説文庫)等

──養生所の医師や、岡っ引きの弥平次なども個性的ですが、彼らは藤井さんのいろいろなシリーズに登場します。

「最初に書いたのは、南町奉行所の秋山久蔵。その久蔵から十手を貰っているのが、柳橋の弥平次(文春文庫二月刊『花一匁』から登場)。北町奉行所の同心ということで、知らぬが半兵衛(白縫半兵衛)。半兵衛に憧れるのが、神代新吾です。

 それぞれ、出版社は違うのですが、それらをこえて同じ世界観で物語が展開しています。神代新吾も、他のシリーズに登場していますし、逆に他のシリーズの主人公が、今回の作品にも登場する。一つ読んだら、次にと読んでいただけると嬉しいですね。合計で三十冊を越えていますが、ここまで広がる作品は、なかなかないのではないでしょうか」

──藤井さんは『特捜最前線』『水戸黄門』『八丁堀の七人』などテレビドラマの脚本、監督作品が豊富ですが、小説の場合はどう切り替えていらっしゃるのでしょう?

「全く別ものですね。シナリオは映像になって初めて完成する。制作に関わる人間も多いので、こちらの想いがそのまま映像にならないこともあるんです。

 小説は全部自分の責任ですから。ただ、映像が目に浮かぶものを書くことは考えています。感情を書かないで、動きでつないでいくとか、シナリオのカットバックの手法を使うこともあります。東映に入社してから、書き続ける人生ですね(笑)」

──新吾はどう成長していくのでしょう。

「本当に三廻りになりたいのか? その時が来たら今のままがいいと思うかもしれない。“発展途上人”ですから、これからどう動いていくのか、書いている私も楽しみです」

指切り
藤井 邦夫・著

定価:650円(税込) 発売日:2011年01月07日

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