――『まんまこと』『こいしり』のシリーズ前2作と、繋がっているところはもちろんありますが、違う味わいがありますね。
畠中 そうですね。でも本というものは、シリーズ中の1冊であっても、1冊1冊で異なるカラーがあると思います。たとえば「しゃばけ」シリーズの『やなりいなり』は、1作ごとにレシピがついていますが、そこまではっきりした形でなくとも、独自のカラーは必ず単行本ごとに出てきます。それはどちらかといえば作者が特別に意識して出てくるようなものではないと思いますが……。
――自然にでてくるようなものなのでしょうか。
畠中 そうかもしれません。1番いいのは作者が何も干渉することなしに、本の方で勝手に仕上がってくれることでしょうけれど(笑)。
――それは理想かもしれませんね(笑)。ところで先ほど、本作の中の大きな変化の理由を「時間をすすめるため」とうかがいました。
畠中 はい。「しゃばけ」シリーズのように時間のことをあまり意識せずに書く作品はもちろんあるのですが、「まんまこと」シリーズに関しては話を進めるため、時間も進めなければなりません。唐突に終ってしまうのであれば別ですが、このシリーズはこれからも続けて書いていきたいし、読者にも続けて読んでもらいたい。だからあの変化を起こすことは必然でしたが、雑誌の連載担当者にはじめてこのことを伝えたときは、「かわいそうだからやめましょうよ」と言われましたが……。
――確かにこの変化に読者は驚くかもしれませんが、ラストシーンの麻之助の言葉などを読むと、強烈にこの先が読みたくなると思います。
畠中 読んだ方もそう思って下さればよいのですが。
――実はすでに続編は『オール讀物』誌で開始されていますね。これもあまり詳しくはうかがえませんが、今後の展開としては、どういったことをお考えでしょうか。
畠中 あまり詳しくはお答えできませんが(笑)……変化による痛手を受けた人間が、徐々に回復していく様子をまず書きたいですね。
――相当なダメージでしたからね。もしかしたら回復には時間がかかるかも知れません。
畠中 でも回復が進んでくれば、周りの人間が必ずちょっかいを出してくるはず。どんなちょっかいが出されるかというと……あまり言うと内容が分っちゃいますね(笑)。
――答えにくいインタビューになってすみません(笑)。